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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 58

「えっ?」
 どうも反応がおかしい。
『やーねぇ……サッカリンて甘いけど体に悪いんでしょ? さっきここにあった餡蜜食べちゃたのに』
『それって、お客に出すやつだったんじゃ』
『………えへっ♪』
『何笑って誤魔化そうとしてるんですか』
 中から他にも数人の話し声が聞こえてくる。
「この声……まさかっ!?」
「きゃっ!」
 紅夜叉が八侘を押しのけ、ドアを開ける。
「………やっぱりっ!」
「あら、紅ちゃんっ!」
 店の中──厨房にいたのは紅夜叉の予想どうり、赤千穂達であった。
「何? 紅ちゃんの知り合い?」
 八侘も中に入ろうとするが、それを紅夜叉が押し出す。
「ちょっと待っててくれっ!」
「ちょっ、ちょっとっ!」
 八侘の抗議の声も聞かず、紅夜叉はドアの鍵をかけてしまう。

「何でこんなとこに千穂ねぇ達がいるんだよっ!」
「紅ちゃんこそ何処行ってたの? 心配してたのよ〜」
「そっ、それは……」
 とりあえず紅夜叉の方からこれまでのことを話した。
 裏道りで八侘達と知り合ったこと。
 協力してもらって白面の居場所の見当がついたこと。
 
 ただし、自分が娼婦の真似事をして、お尻の初体験をしたなどとは、口が裂けても言えなかったが………
 
「それで、なんで千穂ねぇ達がここに?」
「それはね……まずはこれを受け取って」
 そう言って赤千穂が二振りの小太刀を紅夜叉に渡す。
 
 それは雑居ビルの一件で、刀身以外が灰になってしまった為、修理すると言って赤千穂が預かっていた紅夜叉の愛刀───奈落と天雅であった。
 
「ここの主人は、私達火奉にも武器や色々な装備の調達や修理をしてくれてるのよ」
「もしかして妖怪?」
「ええ、そうよ」
 一通り話が済むと、赤千穂は裏口のドアに視線を向ける。
「それじゃ、彼女達にも中に入ってもらって、色々話合いをしましょう。
 でも、できれば私達が火奉だということはまだ伏せておきたいんだけど………」
 ちらっと、狂骨の方に視線を向ける。
「……わかった、俺も適当に話を合わせるよ」
 その言葉に赤千穂はニコッと微笑み、裏口の鍵を外した。
 
甘味処の裏口から厨房に入ると、厨房の隅に置かれた大きな石臼がどかされてその下に階段が現れた。
階段を下りていくと扉が現れその奥に小さな部屋があった。
部屋にはいくつかの扉。その殆どがダミーだという。
従業員に案内されていくつかの扉を潜ると「どれだけ広いのよ。この地下室。」いい加減うんざりと紅夜叉が愚痴を漏らした。
いくつ目の扉か数えるのをやめたとき、刃物を初め銃や砲が所狭しと並べられた部屋に着いた。

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