群れなして蠢く美しき屍 53
「はあ・・・おまえさんの忠誠心には敬意を払うけど、今回ばかりはその主義を曲げてくんねーか?
アンタだってあっちみたくなりたくないだろ?」
そう言って誠は親指を立てて後ろを指さす。
そこではまんざらでもない様子で捕まえたよけいなおまけをかわいがる美樹と、彼女のマネをしようとして逆に捕虜たちにやり返されている葵と白の姿があった。
「あ、あ、ああンっ!み、美樹お姉さまぁッ!?」
「うふふ、なかなかいい反応してくれんじゃない。そんなかわいい顔されたらよけいにイタズラしたくなっちゃう・・・♪」
「ああンっ、お・・・姉さまぁッ!?そ・・・そこっ、そこぉッ!!」
「ん〜?ここもっといじってほしいのカナ〜?」
「お、お姉さまぁ・・・瑞貴ばっかりずるいですぅっ。わ、私にもぉ・・・!」
女同士のただれた関係を改めて目の当たりにして、捕虜の女は憎々しげに誠をにらみつける。
その目は明らかにこう言っていた。
『この卑怯者のド外道がっ。私は敵に簡単に敵に尻を振るような淫売どもとは違う。
私に指1本でも触れてみろ。その指と言わず、その喉笛を食いちぎってやるっ!!』
―――と。
誠は複雑な思いを抱えながら、それはそれは深いため息を1つつく。
自分のところの痴女たち(美樹たち)と違い、まともそうな思考を持っている相手に会えてうれしいと思う。
しかしその反面、だったら全裸でうろつくなよとツッコミを入れたい気持ちもある。
それに誠は外でうろついている怪物痴女たちと違って人を取って食おうなんてつもりはないのだ。
せっかくことを穏便に済ませようとしているのだから、黙って協力してくれよと誠は実に虫のいいことを考えていた。
だがここまで口を割らないのであれば仕方がない。
犯罪行為に手を染めるのはあまり気が進まないが、世界がおかしくなった時点で法もクソもない。
誠は覚悟を決めて椅子に縛られた女の乳房に触れた。
「・・・っ!?」
その瞬間、捕虜の女はハッキリと見てわかるくらいに嫌悪感をあらわにした。
まぁ強姦されようとしているのだから、無理もないだろう。
誠は相手の恐怖をあおるようにたぽたぽと乳房をボールのように軽くもてあそびながらささやいた。
「オレたちに協力する気になったらいつでも言いな。
行くとこまで行ったらもう取り返しがつかないもんな?」
「〜〜〜〜〜〜っ!?」
犯される。それが近い未来、現実のものになると悟った捕虜は狂ったように暴れ出す。
しかし美樹たちの拘束はそう簡単にほどけはしない。
駄々をこねる子供のように、その場でもがくのが精いっぱいのようだった。
しゃべらないばかりで逃げる気満々の女に、誠は警告の意味もかねて乳房をつかんで思いきり握りつぶす。
大きくやわらかな弾力を持つ乳房に誠の指が沈み、お椀型の乳房がいやらしく、いびつに変形する。
痛いようにわざと爪を立ててやると、女は苦しそうな顔をさらにゆがませて痛みに耐える。
(美人は苦しむ姿もきれいなもんなんだな)
誠は痛みに耐える女の姿にちょっとドキドキしながらも、それを悟られないように脅しにかかる。
「おい。何、オレから逃げようとしてやがんだ。
先に質問に答えれば悪いようにしねえっつったのに、それを無視したのはおまえだろ?
答える気がねえんだったら、黙ってオレに犯されてろ。
それとも今ここでもっとひどい目に遭うのがお好みか?」
「―――っ!―――っ、―――!!」
ぶんぶんと首を必死に横に振って中止を訴える少女。
いったい彼女の頭の中ではどんなひどいことをされている姿が展開されているのか。
誠は捕虜がおとなしくなったのを見計らって、つかんでいた乳房を放す。
ちょっとやりすぎたかなと内心ドキドキしながら握りしめていた乳房に目をやると。
ちょっとおかしなことが起こっていた。
乳房についた5つの血。おそらく握りしめたときについたものであろう。
それはいい。だがその血の出てきた傷はどこにある?
微量とは言え血が出ているのだ、どこかに誠のつけた傷があるはずなのに。
そこには絹のような白く滑らかな肌があるだけだ。
血をぬぐっても傷の痕跡さえ見つからない。
これはいったいどういうことなのか?
その時ふと誠の脳裏にある記憶がよみがえった。
それはここに来るときに襲われた痴女たちの群れ。
彼女らはオリンピック選手もビックリするような速度で車に追いすがり、誠たちに襲いかかってきた。
そのときは蛇行運転や障害物を利用して振り払ったのだが・・・。
猛スピードで走る車から振り落とされたにもかかわらず、彼女たちは何事もなかったかのように立ち上がっていた。
思い返してみれば、その時の彼女らもケガらしいケガをしていなかったのではないか―――?
それの意味するところに、誠の顔から血の気が引いた。
まさか。ここにいる男が囲っている女というのは。
今、女たちと戯れている美樹たちは―――!