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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 276

その代わりに、別の質問がシャーリーの口から発せられた。
「姫、姫はなにゆえ魔物の子を産もうと決せられたのですか」
ファニーが中傷を受ける理由の一つが、救出後も魔物を子を産み続けたことだ。
臨月間際ならともかく、受精卵の状態ならタフトの優れた医療魔法を使えば、中絶する事は不可能ではなかったはずだ。
だがファニーは中絶を拒み、胎内にいる子供を総て産みきった。
実際は、メルの防御機能があるために、中絶は至難の業だったのだが、中絶を試みることは一切しなかった。
一部の人からは『命を貴ぶ心優しき姫』と評されたが、大多数からは『忌み子を自ら望んで産んだ汚らわしい女』と評された。
何故そんな悪評を受けてまで、魔物の子を産んだのか。

ファニーは少しためらいを見せたが、それでもシャーリーの質問に答えた。
「理由は二つあるわ、一つはこの子達が生まれることを待ち望んでいる人がいること、もう一つは自分を支えてくれる人が欲しかったことよ」

子が産まれることを望む人とはベルゼビュートのことである。
意外な事に、ベルゼビュートには今まで子がおらず、ファニーとの間に出来た子が初めてだったのだ。
演習に出発する日も、ファニーの膨らんだお腹を撫で回し、耳を当てたりして、ほとんど人間の男と変らない行動をしていたのだ。
実はイザベラとチェーザレは、ベルゼビュートが考えた名前であった。
「男だったらチェーザレ、女だったらイザベラと名づけようと思っているのだが、そなたは何か考えている名前はあるか」

「わたしの方は特に、貴方が良いと思うならそれで良いと思います」

ファニーの方は特にこれといってこだわりもなかったし、父親であるベルゼビュートの好きにさせたのだ。
それで良いといわれたベルゼビュートは、それで良いと言われ、さらに喜びをましてファニーのお腹を撫で回した。
その姿は、産まれて来る子が楽しみで仕方がない父親そのものだ。
(本当に嬉しそうね)
ほとんどあきらめかけていた我が子が生まれるのが、よほど嬉しいのだろう。
その様を見ると、ファニーはつい微笑ましい気持ちになってしまう。
寝食を共にするうちに、恐ろしい風貌も、鼻が曲がりそうな異臭にも慣れた。

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