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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 25

その直後、ジョンストンたちの元へ伝令が来た。
「第三魔道師隊隊長より第四魔道師隊隊長へ。敵後続部隊を急襲するも強引に体勢を立て直されつつあり、敵の反撃は予想以上に熾烈、また指揮官は有能な邪神官の模様、我ら攻撃を継続す。以上であります。」
「了解せり、くれぐれも無理をされるな。と伝えてくれ。」
「はっ!」
伝令は飛ぶように去っていった。
その直後、ジョンストンたちは目撃した。
大広間の扉の左右の壁が吹き飛ぶのを。



そして爆発の余韻覚めやらぬ中、大広間外に残っていた魔物の後続部隊がマモンたちに合流を図る。
すでにマモンたちもかなり体勢を立て直しており、このままでは魔道師隊に多数の被害が出るのは明らかだった。
現に一部の魔物はすでに反撃に移りかけていた。
「そろそろ頃合だ!下がるぞ!!負傷者を残すな!!第一中隊は援護しろ!」
ジョンストンの指令が下り、撤退に移る部隊、援護すべく激しく呪文を打つ魔道師隊。
第三も手はず通り下がっておればよいのだが・・・。
心配しつつ自分の部隊の撤退の指揮を執る。不安を投げ捨てるように、右手に生じた火球を敵のマンティコアに向けて投げた。
その頃、謁見の間では。
「このままでは魔物が押し寄せるのも時間の問題。重鎮達を連れて退避を……」
「阿呆、俺は王だぞ。民を失ってただのオッさんに成り下がるなんざ御免だ」
側近の一人の進言を、ファニーの父たる王は暴言に蹴りをサービスして突っ返した。
「逃げてぇならひとりで行け。止めやしねぇよ」
暴言スレスレの言葉。流石はファニーの父親。娘のヤンチャは間違いなく父親からの遺伝だ。
「しかし貴方様が死んでは王家が…」
他の者が王に進言するが、王は鼻で笑った。
「安心しな。死ぬつもりはねぇ。俺が死んだら誰が民を守る? それにまだ可愛いバカ娘がいる」

「お言葉ですが陛下、姫様のことをお考えならばやはり逃げるのが得策かとぞんじます」
そう献策したのは財務大臣であるモンティ侯爵である。
「ステファン公子の捜索に向かった部隊を集めれば敵勢を打ち破るのは容易いことです」
そこまで話すところまではにこやかな顔をしていた。
しかし、一転して一転して厳しい表情になる。
「されど陛下を失えば我が国は要を失います。姫様は未だ若年、また知らせによれば仕合で深傷おってるとのこと、とても軍勢を指揮するのは難しいかと思われまする。ここはいったん引くのが正しいかと思われます」
そう言って、返答はいかにという具合に王をズイッとみる。
「民を見捨てて逃げろっていうのかい」
「民を救うために逃げるのですよ、それにここで陛下がわめいたところで、誰も救われません」
「はっきり言うね、あんまり臣下が王に対する態度に見えないけど」
「こういうときこそ苦言を呈するのが家臣の役目かと存じ上げます」

そのまま両者はにらみ合った。
時間にすれば30秒ほどだが、周りの重臣達はそれ以上に感じた。
やがて王はあきらめたかのように肩をすくめるとこういった。
「分かった、逃げるよ」
重臣達一同の間にほっとした雰囲気が流れる。
しかしそんな雰囲気を戒めるかのようにヘンドリック王の言葉が響く。
「けど、今はまだ駄目だ。今ここで引いたら総崩れになる。先に女子供などの足弱の者を逃がしてからだ。時間を稼ぐために詰めの城にこもるぞ」

王城には普段の生活や政治を行う外城と、非常時にこもる詰め城に分かれていた。
詰め城は堅固な砦で、少数の兵でも防御に徹すれば大軍を防ぐことは可能だった。
王はまずそこで時間を稼ぎ、その間に抜け穴をつかって非戦闘員を避難させ、最後に撤退すると決めた。
「これは決定事項だ。誰にも文句は言わせねえ」
きっぱりと言い切った。
モンティ候も宰相であるハワード伯も、王には真っ先に避難して欲しかったが、ここで異議を唱えてへそを曲げられてはかなわぬと、仕方なく同意した。

外郭で防戦していた兵や騎士達は魔法部隊の援護を受けながら詰め城へと撤退してゆく。
その合間に非戦闘員も撤退していったが、侍女の何人かが犠牲になった。

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