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RPGに監禁してみる
官能リレー小説 - ファンタジー系

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RPGに監禁してみる 21

二人には離れていてわからない地面の響きをマンドラゴラは察知していた。
二人の背後からおよそ5km離れたところを跳ねながら、雪だるまのようなスライムが移動してくる。
そのスピードは雪崩のごとく村人が全速力で走っても、巨体だと気づいたときには飲み込まれている。
融合スライムの目標地点は、怯えたマンドラゴラを撫でている二人。
はじまりの街周辺では、その姿を見たものは飲み込まれているために、まったく知られていない危険な巨大なスライムが二人に迫っている。
「新しい魔法武器を試すにはちょうどいい相手だ」
空中で、たつひこが見慣れないスライムを発見してつぶやくと、目を閉じ、所持品からデサートイーグル.50AEに似た拳銃型魔法武器を右手の中に出現させグリップを握った。
(この距離だと衝撃波で地上の二人にダメージがあるかもな)
さらに、たつひこが上空へ上昇する。
それを地上で気づいたしょうこ/りなが見上げた。
「くらえ、5連発!」
両手でかまえて引き金を引いただけ。反動なし。
ドゥシューン!!
およそ20m離れた地上でも聞こえる轟音と空気の震え。放たれた一直線の太いうねる青白い光。5連発だが一回の轟音に聞こえた。
雪だるま型スライムを閃光の雷の矢が貫く。
地表をえぐることもなく、スライムは光の粒になり四散する。そのきらめきをしょうこ/りなは一瞬だが見た。
「大丈夫かっ」
「手かげんして下さい!」
「やれやれ」
普段は男まさりで、夜は酒場で働く度胸のある料理長ディアヌが、驚いて、ぺたんと地面に尻をつけて呆然と全裸のまま座りこんでいる。
高出力の攻撃魔法なんて、はじまりの街とその周辺でおとなしく暮らしている「村人」は見たこともないし、想像したこともないものだろう。
「二人とも早く服を着ろ、撤収するぞ。くわしい話はあとだ」
「わかったから、むこうむいて。こらっ、ディアヌさんをちらちら見ない!!」
しょうこ/りなは、もういつもの「村人の服」を装着している。料理長ディアヌは、声をかけられて、あわてて「作業着」を装着した。
「もういいか?」
持ってきた大袋に三人で眠ったマンドラゴラを入れて、たつひこは右手にしょうこ/りなの手を握り、左手に料理長ディアヌの手を握ると、目を閉じて、所持品のリストの中にある瞬間移動の宝玉を「つかう」にして発動させた。
料理長ディアヌは気がつくと、街の入口の門の前に立っていた。
食堂に戻る途中に、巨大スライムが出現して魔法で消滅させた直後に、マンドラゴラの群れが逃げようと地面から出て移動したのが見えたことを二人に話した。マンドラゴラの群れに二人が襲われる前に、急いで撤収しなければならなかったことも話した。
「なんか、すごかったね。ねぇ、あんた、いったい何者なのさ?」
「あー、なんというか、この力の説明するのは苦手なんだ。マンドラゴラの収穫のしかたは、ないしょにしておくから、今日いろいろあったことはディアヌさんもないしょで頼む」
「わかった、約束する。さて、これから二人に最高の料理を作ってあげるからね!」
しょうこ/りなは、女の直感で、料理長ディアヌがたつひこに惚れたのがわかった。
たつひこは知り合いがまた一人増えたぐらいにしか思っていない様子である。
しょうこ/りなには、たつひこが女の恋心にちょっと鈍感すぎて、にくたらしく思えた。
はじまりの街の道具屋で買える回復アイテム「やくそう」の正体がマンドラゴラの地上に生えている草の部分だという話。
料理長ディアヌが、料理人になろうと思ったのは、旅の料理人にこの世界に来て右も左もわからず迷子で、所持金もないときに、野外でキャンプして夜空を見ながら、スープをごちそうになったのがきっかけだった話。
食材を探して、戦乙女だが料理の技能を持つ者は旅をしていることがある。
「名前も知らないその旅の人がこの街に来たとき、この店であたしの料理を食べておいしいと言ってもらえたらうれしいと思ってね」
そんな話を聞きながらマンドラゴラのサラダ、スープ、ジュースなどを二人は何度もおいしいと心から言いながら、ごちそうになった。
マンドラゴラのジュースは、しゅわしゅわと炭酸飲料のような喉ごしである。水につけておくと、味がついて、気泡ができるらしい。
しょうこ/りなは、炭酸飲料は苦手ということで、すりおろしたほうのジュースをいただいたのだが、これは、すりおろしたマンドラゴラを果実酒と合わせたカクテルだった。甘く口当たりがよい。

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