PiPi's World 投稿小説

blood&witch
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 15
 17
の最後へ

blood&witch 17

トンカチを持ったマスターが窓の一つを塞ぎながら言う言葉がフェイクに突き刺さる。
「修理したら、またお金かかっちゃいますね。この前リフォームしたのに」
さらに突き刺さる。
「また、借金がかさむなぁ。このままじゃ閉店だ」
さらにさらに突き刺さる。
「…………………」
罪悪感で無言になるフェイク。
「ならば、この金を使え」
そんなフェイクの横で、ハニートーストを食べていたナリナが唐突に現金が入った大きな袋を取り出した。
「三百万はあるだろう」
「………お前、これどうした?国営銀行のマークが思いっきり書いてあるぞ」
「散歩していたら拾った」
「拾った、って………」
マスターは呆れて言葉が続かない。
「まぁ、確かに使っちまえば、足はつかないけどなぁ」
我々のお札の様にナンバーが書いてあるわけではないので、そこから足がつく事は無いのだ。
「だいたいどういう風の吹き回しだ?」
「このままでは店は潰れるだろう?それではここの絶品パフェが食せなくなるではないか!!そんな事も分からんのか」
「あぁそうかよ。全部お前の都合なわけね」
力説するナリナにフェイクも呆れる。
「………悪いが、その金は貰えないなぁ」
「む?何故だ!?使ってしまえば分からんぞ!」
「そういう問題じゃないんだ。それは多分ロバラトの奴らが国営銀行から奪ったやつだろ?と言うことは、それはこの国の人間が払った税金だからな。俺が貰うわけにはいかん。お前さんらで持ってきな。町を救ったんだ。問題はないはずだ」
「むぅ………しかし」
マスターの正論に流石の天上天下唯我独尊なナリナも納得せざるおえない。
「だったら、ロバラトの賞金、52万を貰ってくれ。俺たちはこの金からすこし貰って旅費にするからよ」
難航する話しにフェイクが妥協案を提示する。
「それでいいなら、俺はかまわんが…………」
「うむ、珍しく、フェイクにしては頭を使った良い案だ」
「珍しく、は余計だ」
「誉めているのだから、少しは嬉しそうにしろ」
「半分馬鹿にした誉め言葉じゃ、素直に喜べねぇよ」
漫才に似た会話が展開されつつ、フェイクは懐から、52万分の札束を出す。
「はい、もらってくれ」
「………良いのか?」
「あぁ、迷惑かけちまったからな」
「………じゃあ、もらっておこう」
そう言って、マスターは札束を金庫にしまった。
「………さて、と」
「………行くか」
「あぁ」
二人はそう言って、食器を重ね、立ち上がる。
「………町を出るのか?」
「あぁ、名残惜しくはあるが、いつまでもいるわけにはいかなくてね」
「………そんな………せめてもう少し」
寂しそうな表情でミリはフェイクを見る。フェイクは笑いながら、ミリの頭を、ポンポンと叩いて言った。
「いや、そういう訳にはいかねぇんだ。俺たちは賞金首で反逆者だからな。いつ、追手が来るか分からねぇ」
「それに、私達はどうしても行かねばならぬ所があるのだ」
フェイクの言葉にナリナが続く。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す