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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 136

何本ものホースが建物内に伸び、辺りは水浸しになっていた。
人間にはボヤにしか見えない結界が張られていて人間の消防士は建物に入った所で建物内の消火活動をしている幻覚を見せられていた。
ふらふらと建物に近づこうとすると黒服を着た従業員に止められた。
「俺、遊びに来たんだけど…」
「申し訳ありません。火災の後始末でご利用できません」と申し訳なさそうに応えた。
「じゃ、じゃあさ、同伴ってことで近くのホテルに行くからさ、女出してよ女!」
カズは名案を思いついたとばかりに叫んだ。
「煙を吸った従業員がいますので店の方針で全員検査を受けに行くことになってます。申し訳ありませんが本日はお引取りください」
「あんだと?俺は客だぞ!金だってあるんだ!」
そう叫んで食ってかかると黒服に周りから見えないように胸倉をつかまれて鼻同士がくっつくぐらいに引き寄せられた。
「坊や、ここは大人の社交場だ。子供みたいに駄々捏ねちゃいけないよ?」
そう言われて震えるとそっと離されて、「というわけで申し訳ありません。次回はたっぷりサービスしますのでお引取りください」と無料券を渡された。
脅えたカズはそれを懐にしまうとそそくさとその場を離れた。
「くっそ!別に店はあそこだけじゃないっての!」
悪態をつきながら色街・裏通りを歩くがどこもカズを締め出した。
理由は『夜烏』のボヤ騒ぎだった。放火の疑いもあって警察が方々に目を光らせていたので未成年のカズはどこでも門前払いを受けていた。
おかげでいつもアルコールを提供してくれる店も牛乳を出される始末だった。

―――学園寮・涼子の部屋―――

涼子が険しい顔をして部屋に入るなり持っていたスポーツバッグを投げつけるとそれは国外産の安いジャージを着た炬俐が受け止めた。
それを涼子が奪い返すと振り回して何度も炬俐を叩いた。
「部屋に誰もいないときに電気ガス水道を使わないで、って言ったでしょ!!」
炬俐が逃げ込んできて数日。涼子はアリスに言い包められる形で炬俐を匿うことになった。
涼子やアリス以外の人には見えないようにできるものの、文字通り『裸一貫』でいられることに落ち着かない涼子は自腹を斬って安いジャージを買い与えた。
一番大きいLLサイズでもツンツルテンのジャージを炬俐は窮屈に着ていた。
「寮の水道光熱は管理人室でモニターされてるの!無人の部屋で急激に使用状況が動けば怪しまれるでしょ!?それに、〆忘れ消し忘れって判断されたら私の寮生としての評価が下がるんだからね!」
涼子の気迫に大妖である自分が食われそうなものを感じながら炬俐は「そんなに大声を出したら回りに聞こえるぞ?」と静かにしようとした。
「お生憎様。静寂の結界を張ってるからこれくらいはもれません!」
そう言うともう一発、バッグで殴ってベッドに座った。
炬俐を匿うことに憮然としながら見つからないかと不安を隠さない涼子にアリスは結界を授けた。
事前に血を飲ませていた血が馴染んでるので難しいことではないと言っていた。
アリスがお手本を見せた後に涼子が真似をした。
「本当にこれで大丈夫なの?」とたずねる涼子にアリスは何の前触れもなくスカートの中に手を入れてパンティ越しに涼子の肛門を抉るように突いた。
突然のことに涼子は甲高い悲鳴を上げて慌てて口を押さえた。
そっとドアを開けて廊下を見てみると誰も気付かず通り抜けていった。
結界は本物なんだと納得して部屋にいるときは必ず張るようにしていた。
しかし、まさか妖怪がシャワー浴びるわ、暗くなると部屋の電気をつけるわ。
アルバイトから帰ってくると寮母さんが、「また部屋の水道が出てるよ。蛇口調子悪いの?」と心配れて、涼子は平謝りして部屋に駆け込んできたのである。
電気をつけて窓から裏の山を眺めて黄昏ていた。
その物寂しそうな姿がさまになってると感じたのを振り払うように炬俐を責めたのであった。
涼子は気分を落ち着かせようと大きく吸った息を溜め息にして吐き出してコメカミを押さえた。
「無一文で着たきり雀で逃げてきたあなたを匿ってるのはあくまで善意なの。不服に感じるならいつでも出て行ってもらっていいんですからね。着替えるからあっち向いて!」
そう言うと涼子は立ち上がってカーテンを閉め、部屋着に着替えだした。
「なに恥かしがってやがるんだ。夜はあんなに燃え上がってるのによ」
蛇がスカートを脱いだ涼子のお尻を突っつくと遠慮のない蹴りを入れられ首は変な方向に曲がってしまった。
炬俐を匿う見返りとして涼子は勉強を見てもらっていた。
炬俐の教え方は以外に分かりやすく、普段はバイトで宿題などは睡眠時間を削って終わらせていたのが日付が変る前にほとんどを終わらせられる余裕ができた。
が、油断してると蛇が媚薬毒を仕掛けてくるので結局徹夜する羽目になっていた。
蛇が涼子にちょっかいを出してる間、炬俐は結ういつ残された携帯電話を見つめていた。

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