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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 120

ライズの態度は明らかに何か関係がある感じだった。
しかしライズの口調から、これ以上聞いても答えてくれそうにないとわかったので、もう一つのことを聞くことにした。
「ねぇ、トルシアについて………教えて?」
「………なんで俺に聞く?」
疑いの眼差しで此方を見てくるライズ。
「えと……旅したことない?」
「………まぁ………少なからずは………」
「じゃあ、トルシアを通ってエスカルドに向かうとどれくらいかかるの?」
ライズは完全に嫌そうな顔をしている。 自分の祖国だというのに…
「俺なら………一ヶ月かからない。」
「一ヶ月!? 普通なら一年以上かかるのに?」
驚いて聞き返すライズはニヤリと笑った。
「普通ならね。 ただ、トルシアには良いものがある。」
「決定! それに決定よ! それっきゃないわ!」
大幅な時間短縮が出来ると、私は大喜びだがライズはさらに言葉を続けた。
「だから…俺なら。 だぞ、姫さん。」
ガックリ…喜びが吹き飛んだ私は肩を落とし、溜め息を吐いた。
「分かりやすいな……
姫さんも、出来るかも知れないし、出来ないかも知れない。 あれは試さないとわからないんだ。」
どうやら誰にでも出来るものではないらしい。
その良いものとは何なのか、ライズに聞いてもはぐらかされて答えてくれない。
「まあ、行けば判ることさ。ついてからのお楽しみてやつさ」
そう言ってニコッと笑ってこの話題を打ち切った。
(この笑顔に弱いのよね)
ライズの笑顔を見てファニーは顔を赤らめてしまう。
他にも話したいことがあったが、扉の外からアンナのファニーを探す声が聞こえてきたので、慌てて物置から飛び出した。

さて応接室では市長ギルバーンが、先ほどまでのファニーとの会話を瞑目しながら思い返していた。
(確かに器が違うな)
ギルバーンは仕事柄、王侯貴族という人種によく会うが、頭を下げたのはファニーが初めてだ。
他の物は横柄な態度でもっともらしい理屈を並べては、金をせびり取ってゆく。
そこに感謝の言葉などかけらもなかった。
ファニーに頭を下げられたときは、思わず肩を震わすほどの感動を覚えてた。
魔物である自分に対してなんのてらいもなく頭を下げる態度は、威風堂々としてまことに王族らしい風格が垣間見えた。
また鉄砲にいち早く注目する先見性や、自分の理想を他者に無理やり押しず、相手の自主性に任せるところにも、好意がもてた。
(それに引き比べると)
もう一人の王女であるフローラ王女について考えた。
フローラ姫はクライフ総督に面会すると、閉口一番『この邪悪な街を焼き払って、ファニー王女を救出せよ』と言ったと言うのだ。
この報告を聞いたとき、ギルバーンは周囲の目も会ったので何も言わなかったが、心中で深い憤りを感じた。

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