大淫者の宿命星 2
こんなにセックスって気持ちよかったっけ、オナニーとかのほうが手軽で気持ちいいよな、と思っていた俺の常識があっさりひっくり返った。
騎乗位で腰に跨がって、あえぎまくっている彼女の姿や揺れる乳房や悶える表情に興奮した。
途中で何度か出そうだと思うと、手をのばして彼女の乳房を揉んだ。
柔らかいのに弾力もあって、ちょっと汗ばんでいる感じの肌ざわりがたまらない。
揉まれている間は彼女の腰の動きが鈍るので、ちょうどよかった。
調子にのって彼女の乳房を揉みまくりながら、俺が下から腰を突き上げて主導権を奪ったと思ったところであっさり限界だったけど。
中出しされてちょっと機嫌を損ねたらしく、すねたみたいに背中を向けて隣で寝そべっている彼女の背中を見て、なんか彫刻とかの女性の像とかみたいだなと思ったりしていた。
「タバコ喫っていい?」
「どうぞ。好きにしていいよ」
「どうも」
少し返事の声ににトゲがあった気もしたが、あえて無視してベットから離れて、ソファーに座って煙草をくわえた。
射精すると少し眠気みたいな気だるさがあって、煙草を喫わないと寝てしまいそうだった。
「なんで俺に声をかけたの?」
俺は煙草の煙を吐き出しながら、彼女に声をかける。今まで会ったことがない。
「あ、自覚ないんだ」
彼女もベットから起き出してきて、隣に座るといきなり奇妙なことを言い出した。
「ねぇ、運命ってあると思う?」
そんなもん、あるわけない。
選択と結果しかないんじゃないか。
そんなことを考えながら「わからないな」と俺は答えて煙草を灰皿に押しつけた。
「じゃあ、声をかけてきたのが私じゃなかったら、ついてきてセックスした?」
「……してないような気もするな」
見た目も悪くなかったし、飲み屋の強引な客引きとかみたいな感じもしなかった。
ただ、腕をつかまれたとき、なんか必死だった気がして話ぐらいは聞いてみようかな、とは思ったけど。そのまま、待ち合わせをした恋人どうしみたいに、コーヒーショップでお茶して、腕を組んでラブホテルに直行とは思わないだろう。
「信じてくれなくてもいいんだけど……」
彼女のことを、どこかの人妻が援助交際で待ち合わせした相手と俺をまちがえたんじゃないか、と警戒していた。俺の財布の中身はこのラブホテルの休憩料金を払ったら小銭しか残らない。
その警戒がまちがいだったらしいことを、彼女の説明を聞いて、とりあえず安心した。
ここの料金は彼女が全額払ってくれるそうだ。
ラブホテル代ぐらい男が払うものかもしれないが、情けないが、ないものはない。
彼女の職業は霊媒師みたいなものらしい。
ただし、霊力を使いすぎると補充しなくてはどんな法術も使えなくなってしまう。
まるで、充電切れのスマホみたいな……と話を聞いていて思った。あとわからないことだらけで、突っ込みどころがありすぎる。
霊力、法術、なんだそれは。
「で、俺とセックスすると、その霊力ってやつが補充されるってこと?」
「そういうこと」
一目惚れで強引なナンパ、または援助交際の人妻ではなかったらしい。
三十歳ぐらいの中二病、それとも、なんか怪しい宗教の人なのか。それなりに美人でフェラチオも上手で、笑顔は素敵なのに、なんか残念だ。
「信じてくれなくてもいいけどね。でも妊娠してるかもしれない。ほらパパでちゅよー」
下腹のあたりを撫でながら、にっこりと笑って彼女はこちらを見つめた。
「そっか、俺がバパになったのかぁ……って、おいおい俺と結婚する気かよ」
「私はかまわないけどね」
彼女はそう言って、俺の股間に手をのばした。不覚にもすでに半勃起して、いじられたらフル勃起するのは確定な感じになってやがる。
「ねぇ、もう一回しちゃおうか?」
「もう充電完了なんだろう……あっ、うっ」
絶妙な扱きぐあいで、彼女の手の中でむくむく勃起してしまい、気持ちいい。
俺って責められるのが好きだったっけ。
このまま手こきで出されそうな勢いなので、俺は彼女にあわてて「ベットに行こう。わかったから、ちょっとやめっ……」とちょっと上ずった声で言うと、彼女は手を離した。
このままでは終わらせない。
彼女がもう許してっていうまで、責めてやる。危機を脱した勃起したチンコにも、カタキは取ってやると口には出さないが誓う。
今まで付き合ったり、遊んだ相手でも彼女みたいな積極的なタイプはいなかった。
痴漢ならぬ痴女なのか。
ベットで仰向けになって、頭まで布団をかぶった彼女が「ねぇ、ちょっと部屋を暗くしていい?」と小声で聞いてきた。
え、いまさらそういうこと言うのかと少し驚いたが、雰囲気って大切だよな、と俺は部屋の照明を調整して部屋を薄暗くする。