香港国際学園 97
「うぎゃあぁぁぁぁぁっっっっっーーーーーー!!!・・・」
玉を握り潰されて男は絶叫を上げ気絶したのだ。
「いざとなったら女の子の方が怖いね・・・」
「だな・・・」
冬真と甲良の会話は、そこにいる男子全員の認識であった。
円金震汰の操作する元生徒の死体軍団は、花藤冬真の土人形に足止めされた挙句、新田善の火炎放射で悉く『火葬』されている。
「ぐぅ!・・・この程度じゃ駄目か!」
円金はやや焦りながら呟いた。
「じゃあ、俺に任せろ!」
ジョージ・モリが進み出ると、彼を中心に大爆が起きる。
彼の必殺技『減量爆撃』・・・普段溜め込んだ脂肪を一気に燃焼させて、周囲に爆発を起こす荒業である。
どうやら1人巻き込まれたようだ・・・
「ザマァみやがれっ!・・・まだまだ撃てるぜ!・・・このまま全員丸焼きじゃぁーっ!」
だが・・・爆風が収まりかけると、ジョージに向かって歩いてくる人物1人・・・堂々たる体格の男は上半身裸、隆々たる筋肉を脈打たせながら、男はにやりと笑う。
「ぬるいな・・・この御堂勇牙様に、熱や炎は通用せんぞ!」
勇牙の鍛えぬかれた拳が、ジョージを襲うが・・・それを避けれるほど、彼は身体能力を備えていなかったのだ。
倭文アディアも大蛇を使いゲリラ生徒達を追っていたが、そこに一人の生徒が立ち塞がった。
「私がお相手しますよ、アディア君・・・」
「孔雀・・・か・・・」
アディアの表情が歪む。毒使い孔雀斬悟には蛇の猛毒も通用しない。
しかも名前の『孔雀』が示すように、蛇達は斬悟を恐れ近づかないのだ。
しかし・・・こっちに打つ手が無いのと同時に、相手にも打つ手が無いではないか。
こっちも毒は通用しないのだ。
「ふふふふっ・・・ふははははははっ!・・・お前も俺を倒せんじゃないかっ!」
自然と高笑いするアディアに肩を竦める斬悟・・・
「別に私だけがお相手するとは言ってませんが・・・」
その瞬間、アデイアは後頭部に強い衝撃を食らって地面に突っ伏した。
何が起こったのか彼は理解する前に昏倒してしまったのである。
「流石、マッハ・パンチ・・・一撃でしたね・・・」
「副長・・・闇討ちは俺の主義じゃねえんだよなぁ・・・」
アデイアを殴ったのは遊佐健児・・・斬悟に気を取られたアディア、そして萎縮していた蛇達は、健児の接近に気付かなかったのであった。
圧倒的優勢のはずだった。
綿密に計画を練って万全を喫したはずだった・・・
しかし、目の前で起こっているのは・・・圧倒的な負け戦であった。
「嘘・・・こんなのありえない!・・・ありえないわっ!!」
呆然と叫ぶ仁科藍・・・白石兄妹も何も打つ手がなく佇むしかできなかった。
「撤退・・・しましょ・・・」
こう言うのがやっとであったのだ。
「いいえ、まだよ!!来なさい!M1部隊!!」
藍が無線機に向かってそう叫ぶと、藍達の後ろからいろんなものを薙ぎ倒しながら、戦車が五台やってくる。
「あ、あれは、M1戦車!?」
悠里が呻く。
無理もない。米軍最強の戦車、M1A1エイブラムスだったからだ。
湾岸戦争で、エイブラムスと戦ったイラク軍戦車の被害は二千台以上!
逆にエイブラムスの被害は18台だったと言う。弾道コンピュータで、寸分の狂いの無い射撃が可能の代物だ。
「さすがに、あれの装甲は剥がせないわね。」
碧も呻くように呟く。
「ホホホッ!!流石のあなた達でもこれには勝てはしないわ!さぁ!降参なさい!」
「あ、藍様!何かがもの凄いスピードでこっちに向かってきます!」
高笑いをする藍に重秀が報告する。
「えっ?な、何が来るの?」「解りませんが、4人です。」
そして、その4人が現れた。
それは、理人達4人組だった。
「エイブラムスなんて、懐かしいのあるじゃないの。」
瞳がエイブラムスを見ながら呟く。
「り、理人君!それに、剣護君達も!」
「よぉ、才栄!久しぶりだが、再会を喜んでる暇は無いな。」