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朝、目が覚めると………
官能リレー小説 - 学園物

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朝、目が覚めると……… 10

「帝!あんた、やっぱり下心があったのね!お姉さまばかりでなく真由ちゃんにまで・・・!!」
ギリギリと胸ぐらを締め付ける。
「ぐぁ…く、苦しいぃ・・・れ、蓮・・・お、落ち着け・・・」
胸ぐらを思いっきり掴まれて息が出来ない…し、死ぬぅうう
・・・ってもう俺は既に死んでるけどな。今は実体化しているのでマジ
で苦しい・・・蓮の奴、手加減しねぇなぁ。
その時。
「帝さん?」
騒音を聞きつけた真由が、音の発生源に姿を見せた。
「・・・え?蓮さんに留奈さん!?な、何してるんですか!」
蓮の手から帝をもぎ取り、多少おびえつつも抗議した。
「し、死ぬかと思った・・・」
「大丈夫?」
心配そうに俺の顔を覗き込む真由。・・・良い子にそだったもんだ。
「もう死んでるんだからノープロブレムですわ」
服についた埃を掃って、靴を脱ぎつつあがってくる留奈。・・・あんたは鬼ですか?
「ま、たとえ生きてたとしても同じことしただろうけど」
いびつに歪んだ蝶番にかまわず、無理矢理玄関の扉を枠にはめ込んで鍵をかけた蓮。・・・あなたの血の色は赤なのかと問いたい。

そんなこんなで一命を取り留めた(?)帝と共に、三人は居間に上がる。

「蓮ちゃんに留奈ちゃん、いらっしゃい。お茶とお菓子をどうぞ」
「「お姉さま、いただきまーす♪」」
蓮と留奈は口を揃える。居間に着いた二人は飛鳥さんが持ってきたお茶と
お菓子を美味しそう食べている。二人ともさっきまでのあの恐ろしい表情が
嘘みたい。やはり憧れの女性の前では猫を被っているようなのだ。
・・・このペテン師どもが。

ここに来る間中、俺は蓮や留奈の恐ろしい視線に晒されていた。
居間に着いて、飛鳥さんが出てくるまでも蓮なんか野獣そのもの表情だし
留奈なんか、今にも口から火でも噴出そうとするくらい真っ赤になって
怒ってるもんなぁ。おかげで俺は針の筵に座らされた気持ちだった・・・トホホ。
真由は心配そうに俺の側に座って、しきりに裾を握っている。・・・ううっ可愛い。

「二人とも事情は帝ちゃんから聞いてるのかしら?」
「はい。帝が蓮の家ではなくここに住むと聞きましたわ」
湯飲みを手に留奈が答える。
「そう・・・折角住んでも良いって言ってもらってるところ申し訳ないんだけど・・・やっぱりこの家が帝ちゃんの家ですもの。あんなことの後だし、できるだけ一緒にいたいの。わかってもらえないかしら」
飛鳥がすまなそうに二人に言った。
「いえ、お姉さまが心配する事ではございませんわ。・・・ただ・・・」
「ただ?」
留奈の言葉に飛鳥が尋ねる。
「私達もここに住んでもいいでしょうか・・・?」
何ぃ!?留奈の言葉に俺は思わず声を出しそうになる。
蓮は表情はにこやかだが、しきりに俺の方に鋭い視線を向けている。
くそ・・・俺に何かを言わせないつもりだな。
「ご迷惑なら・・・いいんです。でも・・・私も蓮も、帝の事が心配なんで・・・」
留奈はわざとらしく涙を浮かべて説明している。
お嬢様なんで、昔からか弱い女の子を演じるのは上手かったからなぁ。
・・・・この役者め。

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