陣陽学園〜Fight School〜 82
「そんな嫌な顔をしないで欲しいな、幕辺白磁くん?」
武術家というよりも純然たる優等生、それを通り越して学者の風格さえ備えたこの男子生徒。
「僕は君が八霧出流に似ていると思って、率直に発言しただけだよ?」
白磁が小中学生時代に憂国十字軍の今は無き親組織、憂国騎士の会へ頻繁に訪れた癒着目当でインテリを気取った政治家や資産家とも違う。
己の不幸を他罰化に酔い非生産的に世情を憂いて論議する、畜生めいた典型的な庶民派カルト信者とも違う。
人並み以上の知性を持った人並み『異常』の気違い、白磁が賢治に抱いた第一印象であった。
この山吹組で目立たぬ存在ではあるが故に標準的、いや陣陽学園の基本型ではないのか。
それが極道学生と呼ばれる彼らの宗教なのか、八霧出流も見てきた世界なのか、幕辺白磁は困惑する。
「八霧出流と同じ・・・君は殻に閉じこもってるよ・・・」
彼の言おうとする事に多少心当たりはある。
姉にもよく言われた『殻を破れ』と・・・
だが彼の知ってる出流は『殻』らしきものは見受けられない。
光り輝く程魅力的な女性だった。
人を惹きつけ魅せてしまうオーラらしきものと、ゾクッとするような色気。
不覚にも勃起してしまう程だった。
後で出流が男だったと聞いたが、それでも抱きたいと思える程の魅力だった。
その出流と似ているとか言われてもピンとこなかったが、ここで出流も殻を破ってああなったのだろうか・・・
その考えこむ白磁の前に立ったのは、蜂丸市花。
眼鏡の文学少女ぽい見た目に最初安心した白磁だったが、やはりそこは山吹組の女衆。
スッと自分のスカートをまくり上げてノーパンの股ぐらを晒す。
「時間あるでしょ?、ちょっとお相手してよ」
幻滅するぐらい卑猥で浅ましい・・・
だが、分かってる。
ここにいる全員、非常に素直で正直なのだ。
自分の生き方に・・・
虚飾や見栄もなく、ありのままの自分を晒す事に躊躇しない。
それは逆に白磁にとって恐怖だった。
余りにストレートすぎるのだ。
そして市花は返事も聞かず、白磁の巨根を露わにしてまたがる。
ここの全員、いつだろうがどこだろうが構わずセックスに及ぶ。
男女だけでなく男同士や女同士、はては乱交まで。
こんな連中に負けたのかと思うと脱力してしまう白磁だったが、ここに来る前に姉に言われた言葉・・・
『全てを見て、全てを受け止めてこい』
それを思い出す。
「あはぁ・・・デカ○ンいい・・・」
うっとりする市花の顔が白磁には醜く見えるが、股間は正反対だった。
姉で童貞卒業した白磁は殆ど女を知らない。
山吹組に入り、姉以外の女を知ったが、初めてセックスが快感と知ったぐらいだ。
特に市花のそこは気持ち良い。
「何だ、市花姐さん・・・ヤリ足らなかったのか?」
先ほどから変わらない貼り付けたような笑顔で賢治が言い、市花の巨乳を服の上から揉む。
「んふふ、セフレと狩りは別腹よ?」
市花がそう答える通り、彼女はさっきまでスキンヘッドの黒服、若本とイチャついていた。
「ほぉう、じゃあ僕はレ○プ分を補完させて貰いましょう。」
賢治が無遠慮に市花の肛門を唾液で濡らすなり、白磁より一回り大きな逸物でグニャリと貫く。
「おぉふ?若いねぇ?おねぃさん壊れちゃあう!」
二穴責めでのけぞる市花に騎乗されていた白磁にも、彼女の肉壁を通して直腸ガン掘りで荒ぶる賢治の振動が伝わって来た。
本当にこの組でのセ○クスには遠慮がない。
『はぁん…にぃに…にぃにぃ…誰にも渡さない…。』
『ええ…離れませんとも…私は貴方だけの従者…。』
風呂場から聞こえる悩ましい声は柳兄妹。
幕辺姉弟と似たような境遇で近親相姦へと至ったにしても真逆の様相を見せている。
白磁が感じたのは性愛よりも罪悪感と距離感、それが普通であり賢治の言う破るべき殻なのか。
そうこう考えている所へガラスをブチ破る音、またKAZUMAが変なフラグを立てて教室の窓から放り出されたのだろう。
彼の不徳が招く愛憎劇はもう慣れた、きっと普通に首を填め直しながら戻って来る。
破るべき殻と言えば男色にしてもそうだ。
白磁が来た初日、散々女性陣から絞られグッタリしていた。
そこへ天使の笑顔で現れた吹雪幸乃に、もう立たない立てない所を問答無用でカマ掘られた。
白磁も敗者として掘られた経験はあったが、掘られた上でイカされたのは初めてだった。
しかもタマ無しに関わらず自分よりご立派、男として完全敗北。
劣等抜け道場で色々と白磁に世話を焼いてくれた真也やアキは、そうした日常にもう馴染んでいる。