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陣陽学園〜Fight School〜
官能リレー小説 - 学園物

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陣陽学園〜Fight School〜 29

「あははは…本物の蛆虫なんて初めて見た…誰か取ってよぉ…?」

「ひぃいい…助けて…ペストになっちゃう…死んじゃう?」

直接残飯を浴びてしまった比較的前列の生徒達は、集中して蝿と鼠にたかられ必死で振り払う、しかも散弾装填済みの銃を手にしたまま。

概ね汚汁で不発を起こしていたが、それを免れた者は明後日の方向に発砲、一挺が同じく蝿や鼠に混乱していた剣士隊を数名誤射。

テルシオ陣形もう一つの欠点、白兵専業の兵は待機時間が長く気が緩んだり逆に緊張、いざ出番で本調子が出ない事も起こりうる。

本来彼等が収拾に当たらねばいけない状況、ことごとく混乱の坩堝に巻き込まれていた、剣士隊女子の一人に甘いバリトンの囁き。

「君、可愛いね?」

白兵戦突入の口火を切る、安定の品行方正サイコパス高見沢賢治であった。

対峙した女子生徒は更なる混乱を抱く中、彼は更なる妄言を語る。

「いいねその表情、怖いだろう、これが僕達の見て来た世界、懐かしき劣等時代、カオスの再現だ。」

「黙れキチガ…。」

反論しかけた所、チタン管で強化された棍の一撃に顎と前歯の殆ど砕かれその女子生徒は昏倒した。

「だから、君も見ておいで、僕はもう嫌だけど。」

賢治が次の獲物に向かう中、幕辺は『ハムスターか何かだと思え!』などと的外れな事を叫んだが、そこは流石カルトのタテ社会。

『土壇場にあってこそ聖戦!』
『流石は区隊長!肝が太い!』
『この学園を我らの支配区に!』

歓声と共に抜刀ないし着剣。

未だ『もうヤダよぉ』と立ち直れない弓兵の女子生徒を一刀で叩きふせ、マントを翻す青髪ヤンデレ斬多村鋭利に挟み撃ちを仕掛ける剣士の二人がかり。

鋭利は左側の剣士の視界にマントを翳す目隠しで短い間を稼ぎ、右側から始末にかかる。

頑丈な日本刀ベースの刃引きサーベル、重い一撃がレイピアを弾きそのまま顔面を割る。

左側の剣士が目測を損ねた突きを放つ右手首に鋭利は左手で握った何かを突き立てた。

「ごっ…すん。」

「ひあああッ?」

鋭利は指の間に挟んだ三本の五寸釘で傷口を抉り、護拳をナックルの代用とした一撃で相手の顔面を砕く。

鋭利が病んだ瞳で周囲を見渡す、六郎は弾を使い切った競技拳銃で何人か殴り倒していたが苦戦している。

こちらは援護しようにも新手が来た、賢治は市花と出流の方に向かった、他に任せるしかない。

「ん…あの…泥棒猫…!」

六郎に加勢するのはフラグ乱立ヤンキーKAZUMA、そして略奪愛に燃える月星明日香であった。

このKAZUMA、紺色だが決して弱くは無い。

「うりゃあっ!」

空手独特の打ち下ろすローキック、バキッと云う音と共に崩れ落ちる相手。

「どぉりゃあっ!!」

ゴスッと凄い音を響かせる正拳突き。

制服上から着けていたプロテクターをものともせず、一撃で打ち倒す。

フルコンタクトの実戦空手のKAZUMA、威力だけなら山吹組でも屈指の存在なのだ。

「惑わされるなっ!、威力だけだ!・・・左右に振って冷静に仕留めろっ!」

彼が紺色なのはこう云う所・・・

一撃必殺の拳であるが、動きはそう良くない。

色々簡単に見破られる辺りがフラグ乱立男所以なのである。

「背中はっ!、守るわよっ!」

若干艶っぽい口調とウインク。

薙刀下段で脚払いしながら蹴散らしKAZUMAに寄り添う明日香。

ちゃんと彼の特性は心得ている。

何がなんでも一発勝負を狙いに行くKAZUMA、集団戦闘では必ずと言って良い程に援護が必要になる。

先程の鋭利は力技に多少のフェイントを加え複数人を短時間で一人ずつ削る遊撃。

対してここにいる明日香は単体から広範囲まで、ジワジワと堅実なダメージに加えて牽制効果を与えるスタイル。

刃引とて正規の重量バランスを備えた長柄たる明日香の薙刀が槍の『代用』でしかない銃剣を上回るのは理屈、混戦でのマスケットは発砲ままならずゼロ距離射撃の優位も活かせない。

焦れたのか、身軽な十字軍女子生徒がマスケットから外した銃剣を低く構えて懐に飛び込んで来た所、明日香は長柄を水平に構え両手で突き出し喉を潰す。

そうして包囲網を張ろうとしていた十字軍生徒は明日香の長短自在な使い分けに手傷を重ね、戦闘不能に追い込まれてゆく。

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