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陣陽学園〜Fight School〜
官能リレー小説 - 学園物

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陣陽学園〜Fight School〜 27

新人教育にまで頭連中が身体を張る、本身の刀槍や致死の体技であっても似たような事をしただろう、そうした姿勢が山吹組の結束力に直結していた。

ぞんざいに彦一が床へ転がし出流の足元まで辿り付く空薬莢、軍手を嵌めた幸乃が『あちち』と拾い45某と刻まれたそいつを金属ゴミ(合金)と書かれたバケツに捨てる。

「カソリックだかプロテスタントだか知らんが、お利口ぶった仁義破りの外道共に一泡吹かせて来い、以上だ。」

歓声が上がる、こうした山吹純華の訓示もある意味宗教や軍隊に即するのだろう。

切った張ったで命を対価のドブさらい、七人の侍かワイルド7か股ぐらに響く高揚感、八霧出流が申し出る。

「死に装束は学ランを。」

『それはない。』

声を揃えて全員ツッコミ、そちらは別料金でございます、はいそうでした。

バカップルに始まり円光紛いのセフレ、修羅場三角関係に続き他人事ではないと評された八霧出流、クラス公認不倫相手の高輪まどかに切り火を切られ戦場に向かう。

ゴルゴダが丘とやら百m四方、起伏も激しく体感的には倍の距離となるだろう。

運動場の名を借りた13番目の処刑場、磔台に上がるのは山吹組か憂国十字軍か。

「当初は基本の作戦通り、私はコイツ撃ち終わったら前線に加わります。」

加圧済みバズーカ型ペットボトルロケット六基を並べる元黒服、当日復帰宣言した蜂丸市花、紺落ちを計算に入れても一日の長たる彼女に一同頷いた。

どんな化学兵器か黄色い液体、誰に聞いても『食事中』とスルーされて出流も漸く理解した代物、山吹組以上に女子率も高く『お利口ぶった仁義破りの外道共』へ最高に最低で最悪な喧嘩花火となるだろう。

対する憂国騎士団は予想通りテルシオ陣形。

スペイン方陣とも呼ばれるこの陣形こそ、かつての太陽の沈まぬ帝国イスパニアの象徴。

中央に分厚いマスケット隊を配置して火力で圧倒する陣形だ。

「恐らく、マスケット隊は25秒近辺の発射速度・・・4列編成みたいだから6秒程で5発くるわよ」

市花が相手の編成を見ながら言う。

「半数ぐらい減らないと辛いよね」

修羅場を愛する賢治だからか、悲壮感溢れる言葉の割にはむしろ楽しそうであった。

こんな集団戦は初めてな出流は、若干緊張気味。

「当たるとタダじゃ済まないよね・・・」

「ケツにぶっといの突っ込まれるよりは痛くないよ」

「まぁ、多少クセになるかもねぇ」

出流の少し弱気な発言にも、何時もどおり軽口なクラスメイト達・・・

その余裕は、くぐってきた修羅場の数の違いであろう。

運動場の反対側、憂国十字軍側は病的な騒ぎようだ。

『我ら憂国の騎士!』
『現代の十字軍!』
『新たなる日本を築かん!』
『凡夫達を導く者なり!』
『審判の角笛が鳴り響く!』
『異教徒共を殲滅せよ!』

選挙に出る訳でもなし、マイクロバスで駅前演説してる人達とどう違うのか、出流は彼等の口上に呆れていた。

今回不参戦、難民として世界を回ったツナ子に言わせれば『有色人種って時点でキリスト教は通用しない』そうだ。

他にも白人による支配だとかユダヤ系がどうの、よくわからないが矛盾だらけらしい。

「やぁ〜ん?宗教キモ〜イ!」

「フヒヒ?厨ニ病ワロス〜!」

月星明日香がぷるんぷるんと媚びを撒き散らし、斬多村鋭利が鼻で笑いながら野次る。

「オラ!おめぇも何か言ってやれ!」

突然出流に振るKAZUMA。

男は黙って行動で示せとも言うが、喧嘩口上もまた武士道における戦度胸と父から教わった。

しかし良い子の部類たる八霧出流、適当な悪口が思い付かない、取り敢えず大声で言うだけ言ってみる。

「君達んとこの宗教団体大変だねー?お昼のニュースで詐欺とか脱税の容疑とかさー!」

『マスコミの情報操作に踊らされる凡夫!憐れなり!』
『非国民!売国奴!邪教徒!シナ(ピー)公は失せろ!』
『真に正しき法は常に正しき者の味方なり!』

倍返しされた挙句、仲間達にまで苦笑される中、合戦の始まりを告げる法螺貝が鳴り響いた。

丘の向こうから爆竹のはぜるような音、統制の取れた弾幕と矢襖にも構わず向かってゆく山吹組、遅れてなるかと出流も走る背後、蜂丸市花がティロ…なんとか!と叫びながらペットボトルロケットの喧嘩花火を打ち上げた。

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