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陣陽学園〜Fight School〜
官能リレー小説 - 学園物

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陣陽学園〜Fight School〜 25

そうこうしているうちに購買のお兄さんが『こんっちゃす』と戸口に現れ、出流以外にも何か頼んでいた山吹組生徒と荷物を受け渡し『まいどあざっしたぁ』と帰ってゆく。

出流の手元には小さな段ボール箱と古新聞で梱包された寸鉄が四本、通販モノの中でも安価な文鎮型。
可動部や刃付もなく今回は特に加治木職人の御世話になる事もあるまいがこの先わからない。

取り敢えず普通の女子制服のスカートにはない、小物武器の収納場所らしき造りの裏ポケットに収納してベルクロで固定、柔軟ついで身体の曲げ伸ばしにも問題はなさそうだ。

そんな出流の視界の隅、柔軟体操という名目で月星明日香から露骨に視覚的なセクハラを受け、KAZUMAが無言で顔真っ赤になっていた。

わざわざ下着を食い込ませてM字開脚とかどこの柔軟体操だ。

そしていつの間にか紛れ込んだひぐらしが鳴く教室の隅で、止まない雨が如き悲壮感を漂わせる斬多村鋭利、闇に病んだ瞳を見開き『極刑』と呟く。

出流はKAZUMAに共感を持っているが何だか複雑、近くで柔軟体操している高見沢賢治に聞いてみた。

「高見沢くんアレは…?」

「三角関係以外の何に見える。」

KAZUMAはあの二人を含めセ○クス面の問題はないが色恋関係は微妙、踏み出せない鋭利の一方通行、薄々気付いても鈍感なKAZUMA、面白半分が本気になり始めた明日香。

出流の知らない『なんてホラゲ?それともグロゲ?』の世界、選択肢を間違えれば悲しみの向こうに辿り着いてしまう。

「斬多村と月星も昇格近いし、抗争の二つ三つもあれば『刃付け』するだろうな。」

出流が聞きたくなかった事をさらりと言ってのける。

この高見沢賢治も性癖自体は比較的普通な部類の犬脱却男子だが、やはり歪な所を残している。

彼が飼い主のいない野良として、力づくで肛門を貫かれ時として男根に跨がられる日々、そこで印象深く残った物は『愛憎劇』の数々だったという。

隔離された劣等生居留区は戦国時代における落人の部落に近く、敷地内を出歩く程度の自由はあった。

泥濘の底で密かに育む愛も引き裂かれる犬達、そして独占欲のみならず情が移った一般生徒による犬を巡った争い。

皮肉なまでに『人間』らしい光景の数々が、元々理知的な高見沢賢治を立ち直らせる原動力となったのだ。

「修羅場はいいね、人類の産み出した文化の極みだよ、そうは思わないかい八霧出流くん。」

それがどうしてこうなった、駄目だコイツも早く何とかしないと。

脱力しそうになる出流に、スカート下スパッツを履かせ、軽量のスニーカーにレガースソックス。

それにオープンフィンガーグローブまでせっせと母親か妻のように身支度するのはまどか。

どこか姉を思い出させる世話焼き女子は嫌いではない。

何よりスパッツが有難かった。

スカートのまま戦闘は正直気が散ると言うか・・・

それに軽量スニーカーは、今回の作戦に最適だ。

そう言う気遣いがかなり嬉しい。

「高輪さん、ありがとう・・・」

「まどかでいいわ・・・るーくんがエッチしてくれるなら、いくらでもお世話するわ」

家庭的で主婦のような笑顔の中に欲求不満な団地妻の艶を込めたまどかがそう言う。

おまけに豊満な身体を押し付けてくるサービス付きだ。

さっきは台所で昼食の支度をしていた。

手伝いに付いていたらしい小悪魔を孕んだ妹ちゃん、吹雪幸乃がおずおずとした(計算か天然かわからない)声音で『ゴハン出来ましたよ〜』と台所から顔を覗かせる。

紺色七人に必勝祈願のカツ丼大盛り、抗争だから特にカツ縛りでもなく雰囲気次第、常に大盛りだそうな。

腹八分なぞ知るものか同じ死ぬなら腹十分、勝って済ませりゃそれでいい、山吹組の喧嘩度胸であった。

白黒は何かしら別メニューを頼んでいたり勝手に台所に入って行く者もいる、さもなくば弁当の類を持参だ。

武具の類を直接身に付ける生徒は大体それらを着けたまま食事、或いは外しても調整位置を記憶するか固定していた。

満腹感と一時的な身体のムクみの為に半端な微調整を加えてしまい、使い易い位置からのズレを防ぐ工夫であった。

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