香港国際学園 133
「お兄様。大丈夫ですか?」
「いや〜、さっきの放電スゴかったなぁ。」
声がする方を見ると、二人の男女が理人にかしづいていた。
「・・・・誰?」
やなくが聞く。
「ああ、俺の従兄弟達だ。お前ら、早かったな。」
「いえ、お兄様のためなら。」
「そうそう、俺達は兄貴の家来なんだからさ。」
「従兄弟?」
「ああ、まぁ、鈴木家と雨宮や鳳みたいな関係だな。もっとも、もう橘家は没落してるから、こいつらの家も自由なんだけどね。左の女の子が白壁菜月、右の男が八ヶ谷桐谷だ。桐谷、例のやつは?」
「持ってきたよ。」
桐谷が布にくるまれた物を差し出す。
理人がその布をとると、中から銃がでてくる。
「なんだ?その鉄柱は?」
「これから、また厳しい戦いになりそうだから八ヶ谷家に作ってもらった俺の新兵器!その名も『覇龍皇』さ。」
「ふぅん、まぁ、それはいいとして、それ以外にこの二人を呼び出した理由は?」
「夜観家の動向を探ってもらったんだ。」
「夜観って、燵摩の家じゃん。」
「夜観家は元は橘の家系で、源平合戦の時に平氏方について、戦で掟破って民間人を大量に殺してな。当時の頭首が見かねて縁を切ったんだ。」
「へぇ、理人君の先祖も苦労したんだね。」
誠一は理人に共感するように頷く。
「で、どうだった?」
「どうやら、数年前から公元家とつながりがあるらしく、一昨日、オロチ衆30人がこっちに入ったようです。」
「近衛のほとんどだな。わかった。菜月はあそこでぶっ倒れてる才英の治療!!桐谷は白壁の医療班を呼べ!」
「白壁さんの家って?」
「医術専門さ。銀城先生とつたやさんだけじゃ、手が足りなくなるかもしれねぇからな。それにしても剣護とオヤジ、おせぇな。」
「悪かったな、遅くて。こちとら、命懸けだっつーの。」
剣護と九頭竜が疲れた様子で入ってくる。
「ほれ、盗ってきたぜ。理事会の連中の機密。全く、なんだ、あのアドルフとか言うの。隙が気持ち悪いほどに無かったぞ。」
そう言いながら、剣護は紙束をつたやに渡す。
「ああ、あいつか。ありゃ確かに強そうだ。」
理人が剣護達に茶を渡す。
「会ったのか?」
「尾行の時に見ただけさ。」
刀機の問いに理人が答える。
「尾行?そんなこともできるの、理ちゃん達。」
「ただ、戦場でドンパチやってたわけじゃねぇさ。暗殺やら潜入工作やら機密文書の盗みやらさせられたもんだ。」
「うわぁ!!」
「おっ、才英、起きたな。」
「あれ、僕、確か鈴木君の放電で・・・」
「ていうか、どっから来たの?」
やなくが才英に質問する。確かに才英がドアから入ってきた記憶はないのだが・・・
「最後の力を振り絞って、液体化してさ、脅かしてやろうと思って天井裏から来て、さぁ入ろうと元に戻った時に・・・・」
「そりゃ、バッドタイミングだな。ご愁傷様。」
「ごめんね、才英君。」
才英の心に誠一の困惑顔がクリティカルヒット!!
「大丈夫だよ、僕はこの通り!!」
才英は後ろの殺気に気づいてない。