香港国際学園 110
「戦意のない者に、ましてや、女の子に「死ね」はないでしょう?」
黒髪の男がゴルドーに言う。どうやら、敵ではないらしい。
「お前は確か、幻柳。」
「ええ、私の名前は幻柳です。もっとも、これは別名ですが。」
「能力を持たない生徒の中でも最強で、そこらの能力者じゃ相手にならないと聞くが。」
「さぁ、それは人によりますね。」
そう言って、幻柳は構える。
「はぁ!!!」
凄まじい連続攻撃がゴルドーから繰り出されるが、幻柳はいとも簡単に避けていく。
「あなたの技は唯の殺し技にしか過ぎません。」
「あ…元斎」
ぬえが呟いた。
「うん。そんなとこで腰ぬかしてると邪魔だから、どいてくれると凄く嬉しいな。僕」
言われて、ぬえがそそくさとその場を離れようとするがゴルドーがそれを阻んだ
「おいおい、ちょっと待てよ!刹那の居場所は」
「ああ、それは僕が知っていますよ。教えてあげますんで、ぬえさん逃がして貰えると、嬉しかったりもします」
ゴルドーはそれを聞いて、体を元斎と呼ばれた小柄な黒髪に向けた。
「ほう…何処にいるんだ」
元斎はぬえが保健室から出ていくのを確認すると、うん。と呟き、こう言った
「地球上のどっかです」
「バイバイ」
ゴルドーの義手が"びゅうん"と風で唸った。
しかしそれはゴルドーが腕を振るったわけではなく、義手が腕から離れて、あらぬ方向に飛んでいったからだ。
「…また、つまらない物を斬ってしまいしたわ…」
蹴りのダメージから立ち直った碧。胴田貫で一刀のもとゴルドーの義手を斬りとばしたのだ。
「ほう…なら何を斬ったら面白いのかな?」
「去勢手術ってご存じかしら?」
その背後でよろよろと茜も起き上がり、モーゼル拳銃を構える。
暴力とセックスの申し子、今泉姉妹のスカートが、内側から不自然に持ち上がる。
「ほざけ俗物!その前にお前らの逸物…切り刻んでやるわ!」
ゴルドーが、使い物にならなくなった義手の鉤爪部を引き抜くと、その下から手品の様に長剣が現れた。
「あの〜ちょっといいかな〜」
幻柳が、おずおずと申し出る。