神に仕えし者たち 1
神獣、新龍、神鳥、神魚
この世界を護る上から遣わされた化身が存在する。
そのものは災の前に産まれるとされている。
そして産んだものと共に災いを倒していくとされている。
登場人物
ロウ 15歳 男
村民からで勇者
神獣である白虎に見初められた勇者
ホーリー 22歳 男性
貴族で魔力が強く魔法省に勤めていた
神龍の白龍に見初められた魔法使い
アカツキ 17歳 女性
踊り子兼弓使いのエルフ
神鳥の不死鳥に見初められる
マリン 17歳 女性
神官見習い
神魚の人魚に見初められる
それぞれ孕まされて子を産勇者の冒険が始まるまでの物語である
アカツキの場合
アカツキと神鳥が出会ったのはまだ幼い時だった。
母親と森にきのみを取りに来ているときに鹿などを狩る罠にかかった神鳥を見つけたのが始まりだった。
「ママ!赤い鳥さんが罠に引っかかってる!」
アカツキは母親にお願いして罠を解いてもらった。
羽の付け根が傷んでいたため、アカツキが大事に連れて帰り、
怪我が治るまで家に置くことにした。
木の実や雑穀を食べやすいように潰して与え、羽根に薬草を当てると布で巻いてやった。
時間があれば親身になって鳥のお世話をするアカツキに対し両親はとくになにも言わなかった。
普通の鳥や小動物であれば職業柄食べることをすすめただろうし、そうでなくてもペットを飼うことに一言二言あったかもしれない。
だがアカツキの住む集落では神鳥の逸話が伝わっていたため、それっぽい鳥が大事にされていたのだった。
一月もすれば良くなるだろう怪我はわずか5日で完全に治ってしまった。
幼いながらに疑問を抱きながらもアカツキは両親の教え通りに森に帰してあげようとした。
けれど神鳥は恩返しのつもりか、はたまたアカツキを見初めたのか側を離れようとしなかった。
両親も逸話によく似たこの鳥を無下にはできず、アカツキと神鳥はもうしばらく一緒に暮らすのだった。
1人と1匹が共に暮らすようになって数年の月日がたった。
幼い子供だったアカツキも年頃の少女となって、女性らしい雰囲気を纏うようになった。
守られるべき存在から集落の一員へと認められる過程で、アカツキは家業の狩りを学んで弓の使い方を覚えた。
また神鳥といつも一緒にいるためか、巫女見習いとして踊りも習っている。
アカツキの側でクルクルと飛び回っている神鳥といえば、燃えるような美しい赤い羽根をたまに落とすことがあった。
少女はそれを使って矢羽根にしたり、羽飾りを作ったりしていた。
そうしてアカツキが神鳥の色を身につけると肩の上で嬉しそうに鳴いて頬擦りをするのだった。
アカツキの住み集落の近くには温泉が湧いており住人たちの憩いの場となっている。
与えられた役目を終わらせたあと、他の皆と少しズレた時間にアカツキは神鳥と温泉に向かった。
手拭いと桶を片手に持った一糸まとわぬ姿のアカツキは、掛け湯を済ますと湯船の端っこに腰かけた。
「ふぅー気持ちいいね。」
アカツキと神鳥はのんびりと温泉に浸かる。
「きゅるるぅー」
本来鳥は温泉を好まない神鳥は温泉を好んでいた。
そのため、アカツキの膝で温泉に浸かっていた。
「ふふっ。くすぐったいよ」
最近神鳥はアカツキのお腹あたりに頭をスリスリ擦りつけていた。
アカツキは神鳥のスキンシップかと思っていたが、神鳥のマーキングであった。
それにより加護を毎日与えているのだ。