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下宿少女
官能リレー小説 - ハーレム

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下宿少女 2

その言葉を聞いた途端、目の前の少女はこの世の終わりが訪れたかのような顔をした。

「ええっ…ゆう君…も、もしかして覚えてない…かな?」

少女は若干顔を俯かせ、上目遣いになって見つめてくる。
そ、そんな顔をしないでくれ!!!罪悪感ハンパない…
…って、あれ?
周囲の光景は相変わらず見覚えがないが、この光景は知っている。
そうだ、俺がまだこっちにいた頃いつも俺の後ろに隠れていた…

「もしかして…小春か?」

俺は微かに残された記憶の中から、一人の少女を引っ張りだしてくる。
その途端、暗く沈んでいた少女はパァッと顔を輝かせた。

「うん…うん!!!そうだよ、ゆう君!!!久しぶり!!!」

出会ったばかりの時の不安げな表情は消え、満面の笑みで走り寄ってくる少女…いや、小春。
俺は大きな衝撃を受けていた。
あんなに小さくておとなしかった小春が、こんなにも美人になっているなんて…
小春は俺の側に近寄ると嬉しそうに手を取ってくる。
か、顔が近い!!!動くことで昔はなかった胸の膨らみは揺れてるし、何かいい匂いするし!!!

「ずっと会いたかったんだよ、ゆう君!!!お帰り!!!」

俺が帰ってきたことに興奮しているのか、昔からは考えられないくらい声が大きい。
と、とりあえず…

「こ、小春…分かったから、その、いったん離れよう。な?」

今の俺と小春の顔の距離は、あと数センチでキスが出来そうな程近い。
このままじゃさすがにまずいだろう。

「あっ…その、ご、ごめんなさい…」

小春はあわてて距離を取ると、シュンとうなだれてしまう。
俺は気まずくなった空気を変えるために話題を変える。

「それより、どうしてここに?どこかに行くのか?」

小春はキョトンと不思議そうな顔で俺を見つめてくる。

「おばさんから聞いてない?」

「母さんから?何を?」

「えっとね、私はゆう君が迷子になったらいけないから迎えに行ってっておばさんに頼まれたの。」

初耳であった。
まったく、こういう大切なことは前もって連絡してくれよな…
もしも俺たちが互いを見つけられないまま、俺が適当な方向に歩きだしていたら完全に迷子になっていた。
あの人は昔からこういった大切なことほど伝え忘れる傾向があるな…

「それじゃ、さっそく行こう?」

「ああ、そうだな。」

俺たちは二人並んで俺の家へと歩き始めた。

「まったく、母さんには困ったもんだ…いつも大切なことほど直前や後になって言ってくる。」

「あははは…きっと忙しかったんだよ。」

「いーや、忙しかったからとかじゃ済まされないね。信じられるか?父さん達の赴任先がアメリカになったって聞いたの、三日前たぜ!?」

「あははは…」

あまりの俺の剣幕に小春からは乾いた笑みしか帰ってこない。
俺が言ったように、父さんと母さんは日本にはいない。
父さんは大手企業に勤めており、新たに出来る海外支部の手伝いのため赴任先がアメリカとなってしまった。
父さんは家事などは全く出来ないので母さんも付いていくことに。
俺としては久しぶりに家族と過ごせるということで少なからず期待をしていたのだが、まさかこの年で一人暮らしをすることになろうとは…
とうの両親達は昨日には日本を発ったはずだ。
まったく、そういう大切なことは決まったその日に言えってんだ…

「…だったらゆう君、このことも知らないのかな…?」

「ん?何か言ったか?」

「あ、あのね、ゆう君…」

小春が何か言おうとしているが、俺の視界の角には見覚えのある家が見えていた。
駅の周辺は変わろうとも、この辺りは変わらないな…
玄関の表札には天野の文字。
俺達はいつの間にか、なつかしの我が家へと帰ってきていた。

「お!帰ってきたな。さて、せっかくだしあがっていくか小春?」

「ええっと…だから…」

さっきから小春の様子がおかしいな…
何かを言いたそうな、どう切り出していいか分からないというような…

「ま、何か話があるんなら中でしようぜ。ほら行くぞ。」

「あ、待って…!」

俺はドアに手をかけ回す…って鍵開けるの忘れてた。
久しぶりの我が家に緊張でもしてんのか?

ガチャ…

ガチャ?あれ、何でドアが開くの?
つーか電気付いてるし…物音も聞こえる…まさか…
泥棒!!!??

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