邪宗ふたなり教 14
「親父」
「ああ、すまない……それにしても家内も少しは家の事をしてほしいもんだ」
雫は心が苦しくなる、既に彼の伴侶は教団に捕らえられているからだ。
和子は脅迫者から指示された場所を目指して自動車を走らせていた。コートの内側には扇情的な下着にディルトーが嵌められている。そして自宅には残せないモノをトランクに積んでいる。
「翔」
あの子は私を愛してくれた。
名門女学園のPTAでの詰らぬ意地の張り合いや息子の反抗期で疲れた心を癒してくれるのは彼だけであった……彼も私を理想の母親と思っているらしい。ハンドルを握る手が何時よりも強くなっている……こんな姿で自動車の運転させるなんて……和子は言い知れない恐怖と羞恥心にくじけそうになるが露見すれば全てが失う恐怖感が精神を奮い立たせていた。
前日、指定された場所は寂れた別荘地でバブル時代に建てられるも長引く不況で空別荘が多くなっている。
「(恐らくここに彼は居ない)」
和子は周囲を見渡していると携帯に着信音が鳴る。
「約束通り一人で来ているわ」
「そのようですね」
和子がハッとした瞬間、衝撃が走り気絶した。
「(そんな、まさか……)」
スタンガンを押し付けたのは娘二人が通う名門女学園の理事長であった……薄れゆく意識でもはっきりと分かった。
和子はその場で倒れると理事長はホッとする。
「乗って来た自動車はこの先の崖から落としておきましょう……ハンドブレーキをかけ忘れて落下したようにすればね」
信者らはテキパキと偽装工作を始めた。
「ここは教団の支配下に置いているとはいえ油断しない様に」
ここの自治体の長はふたなり教信者で殆どの住民が同様に信者になっている。所轄警察署も支配下に置いており偽装工作の為に道路を封鎖している署員の姿も見えた。
ふたなり教はキョウコの意向で表沙汰にならない様にしているので普通の人には異様に見える宗教的施設を作らない……カルト教団にならない様に努力はしているのだが信者が芋づる式に増えるのは信者の性欲故であるがむやみに増やさない様に信者自身も努力はしている。
「雫様に報告しなければ」
理事長はメールを送信、これも周囲に怪しまれない様にするのである。
雫は関家のトイレにてメールを見て天井を見上げた。
「後は妹さん二人ですね」
上の子は私と兄の恋中を知ってはいるが問題は初等部の方の下の子だ。
下の子は初等部四年生、上の妹とは逆に母親の威を借りているが上級生ではその素振りを見せない。
「少しキツめもいいかもしれないわね」
このままだと問題を起して学園が危ない……私はメールを自宅にあるPCに送信した後に消去してトイレから出る。和弘さんのお父さんはとても人がよい人、和弘さんが私とセックスする仲と分かっても咎めもしなかった。
「ふう」
数時間後、酒に酔い気分よくなったのか和弘さんのお父さんは息子に引きずられて寝室で寝ていて、私は食器を洗い終えた。
「ごめんな、客人にこんな事させて」
「気にしないで」
丁度その時にドアが開く音が聞こえた。