戦国奮闘記!! 1
戦国時代、京の都を焼き尽くした内乱「応仁の乱」が終結により幕府の権威は地に落ちた。
全国各地に広まった下克上の風は止まること無く広がり、「我こそが天下を統一する」という武将「戦国大名」が誕生した。
血で血を洗う戦い、裏切り、同盟、ありとあらゆる手段で自国の領土を広げていく大名たち、此処に長い戦乱を知らせる号砲が鳴らされたのだ。
「やっぱ、「戦国乙女」はいいなぁ〜!」
某都某所のアパートの一室、整理整頓された通常にしたら広い部屋に喜びに満ちた声が響き渡る。
彼の名は五十嵐善樹(いがらしよしき)。今どきの高校2年だが、彼の実家は戦国時代から続く武家の家系である。
そして、彼は代々続く武術「千刀流」の99代目当主なのだ。
そんな彼が今はまっているゲームは「戦国乙女」という戦国武将が全員巨乳美少女なありがちな戦国ゲームである。
「ハア〜ゲームの中に入れたらな〜そうすれば、こんな可愛い子達と恋人になれるのに・・・・」
善樹は今日も何時ものようにゲームをしながらそんな事を考えていた。
すると・・・・
『ふむ!よかろう少年その願い叶えてしんぜよう』
「へ?」
今日は両親が仕事で留守のため、部屋には善樹一人しか居ないハズなのに、突然何所からか声が聞こえてくる。
「な!なんだ!」
同時にテレビの画面が光り輝き、真っ白な光が善樹を飲みこんでいく。
『では少年!楽しんできたまえ!』
光が消えた時、部屋に善樹の姿は存在せず、ただ電源をつけたままのテレビが、ゲームのスタート画面を写していた。
「うわっ!!?いでっ!!」
あの光に飲み込まれ視界が真っ白に染まった彼が次に感じたのは、固い地面に体を打ちつけた痛みであった。
「いっつ〜・・・・って、何処だ此処!!?」
あまりの痛さにしばし地面を転がっていた善樹だったが、やがて痛みは引き立ち上がって辺りを見回して驚愕し大声をあげた。
森である。太陽の光を遮らんばかりに生い茂った森が彼の視界を埋めていた。
彼が今いるところは丁度その森の広場になっているのか、上をみれば雲一つない晴天である。
「はぁ、修行のお陰かパニックにならないですんだけど・・・本当にd『答えてあげよう少年!!』うわ!!」
一体全体何が何やらサッパリ分からずつい愚痴っぽい事を言っていた途中、先ほどの声がまた何処からか聞こえてきたのだ。
これには流石の彼も本気で驚いてしまった。
「だ!誰だ!」
善樹は慌てて周りを見渡すが、やはり誰もいない。ただ、声だけが森の中で響いている。
『ほほほ・・・そう怯えんでも良い・・・ワシの事は・・・そう!神様とでも思ってくれればええ・・・』
「か!・・・神様だと!?」
『うむ!厳密にいうと違うが、まあお前さん方の概念では、それが一番近いじゃろう・・・』
「か!・・・神様が俺に一体何の用だ!」
善樹はパニックを起こしながらも、状況を把握しようと、必死で声に問いかける。
『外でも無い・・わしゃあお主に、この世界の救世主に成って欲しいんじゃ』
「きゅ・・・救世主???」
『ふむ!お主、並列世界という概念を知っとるかな?』
「ああ・・・たしかパラレルワールドの事だろう?」
『そう・・・この世界にはそれこそ無数に様々な世界が存在しおる。お主の世界もこの世界もその一つじゃ・・・ただ違うのは、この世界はお主の世界より、数百年分歴史の進み具合が遅れているということ・・・太古の昔に流行った伝染病によって、人間の遺伝情報が一部書き換わり、男の子が生まれ難く成ったため。男女の出生率が、数十対一になり、その結果お主の世界とは、男女の役割が逆に成ってしまったという事じゃ・・・』