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BR42bis
官能リレー小説 - その他

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BR42bis 10

雄によって孕まされると、雄を産まされてしまうので、人権・倫理上、雄と人間との子供をどう扱うか議論が百出し、決着を見ていない。
交雑して子を産ませることで、様々な動物の特徴を持った雄が現れて世界を脅かしている。
そればかりか雄に妊娠させられた人間が社会的な排斥を受ける事態にもなっていて、重大な問題となっている。

転じて強姦された人やされそうな人が相手の男を、雄と呼んで蔑んだり警戒する。

生物であることは確かだが、どうして発生したのかも分からない怪物、それが雄。
どこかの国か企業が遺伝子操作で造り出した人工生物だという噂も流れたが、倒された個体を調査した科学者達も「それはまだ判断できない」と口をそろえるし、疑われた国や企業も頑なに否定した。
地球のいかなる生物からも検出されていない遺伝子も持っていたため、「人類の増加と跳梁に激怒した大自然の報復だ」と宗教か哲学のような主張をする者もいるし、「異星人の策略」だなどと陰謀論めいた主張も飛び交っている。


一種ファンタジー世界めいた怪物を前にして、秀仁たちは必死に勇気を奮って向かい合っていた。
「戦うから、ふたりはその間に逃げてくれ」
「え……」
「嫌よ。逃げても結局犯されたりしたら目も当てられない。そんなことになるくらいなら、戦って死んだほうがまし。」
「待って、詠子、神楽くん、刺激しなければ……襲ってこないかもしれない。」
幸いにも、熊とも猪ともつかない姿をした雄は、まだ100m近く離れていた。
「全員で逃げるって事か。」
「何食わぬ顔で、このまま下がって、茂みなどに隠れながら距離を取れば、もしかすると、もしかするかもしれない。」
「そうね。戦うのはそれからでもできるわね。」

目を付けられるのではと、三人とも神経を擦り減らし、それでも表面上平静を装って、刺激しないよう、何食わぬ顔で三人は下がって行く。
近くの茂みに身を隠し、雄の視界から一度姿を消し、再び視界に入らないよう気を付けて、木々に隠れて距離を取る。
「何とか逃げられたかな。」
「そうみたいね。」
「よかったぁ……。」

さらに距離を取り、秀仁達三名はようやく安心感を抱けた。

「この後、どうする?」
「うーん…」
「詠子、神楽くん、あれ」

茉莉が指さした先には、別のケースが置いてあった。蓋は閉じられており、誰も空けてないと思えた。

「開けてみましょ。何か役に立つかもしれない」
「罠かもしれない。僕が開けよう」

ふと秀仁の脳裏を、ブービートラップではないかとの疑いがかすめる。だから自分で開けると申し出た。

慎重に、秀仁はケースを開ける。幸い、何も罠はなかったようだ。

「こっちは主に食料か…でもこれって…出していくから見てくれ」
「え、ええ」

詠子と茉莉も近づいてきた。
秀仁は中身を並べていく。軍隊でレーションと呼ばれるような野戦携行食や、その災害救助用民生版みたいなのが次々と出てくる。
軍用の物は国籍もいろいろだ。米軍用と思しき物も、中国軍用と思しき物も、ドイツかどこかの奥州の物と思しき物もあった。

「アメリカ軍のかしら?どうやって食べるのよ」
「こっちは災害用みたいだよ。日本語の説明があるよ」
「こっちは自衛隊用かな。使い方が書いてある」
「外国版は、日本語説明がある物を参考にするしかないみたいね」
「とりあえず、3人いれば持ちきれそうな量だね」
「そうね。持っていきましょ」

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