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華が香るとき〜外伝〜
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華が香るとき〜外伝〜 9

「はあ…黙って聞いていれば、どこにでもいそうなガキに何を言ってるんだか。しかもこんな古臭い写真に」
チャレンジャーこと社長の息子が今日初めて口を開く。
会議の時も先程も(自称)クールにしていたが、父親である社長が苦しい今、耐えきれなくなって口を開いたのだ。
「……」
桜と菫は息子の言葉に振り向き、一瞬鬼も顔負けの顔をするが、急転して満面の笑顔で口をつぐむ。
「そんなガキより俺にしろよ。幾らでもブランド品を買える財力が俺。ブランド品が似合う俺。
いや、違うな。ブランド品は…ブランド品だけじゃなく、あんたの様なブランドの付くような女、金、宝石は俺の為にあるんだ。
大した魅力もなくて、結婚も出来ないそんなガキより、顔も良くて財力、権力、名声がある俺にしな!」
会議中は人の良さそうな、ただブランド品に着飾られたブルドックの様な顔をしていた社長の息子。
大学も社長が金を渡して三流大学に裏口入学しか出来なかったし、会社でも何も出来ない為ただのお飾り。
金があるのは父親のものであり、本人は金も権力も名声も全く無いのだ。
桜と菫はその間もずっと笑顔。
社長は必死に息子を止めようしていたが、息子には耳というもの自体が付いていなかった様だ。
「ねえ菫?貴女、今から時間あるかしら?」
「ええ。桜は東京。私はロンドン。ニューヨークは誰に行かせる?」
「そうね…ニューヨーク支社の支社長にでも行かせようかしら」
「後は…この本社の管理職何人かに銀行に行かせれば大丈夫ね」
桜と菫は二人はいなかった様な感じで出掛ける準備をする。
社長は何が起こるか分からずあたふたと。息子は桜が聞いていないのに一人でまだ演説をしていた。

桜はそのまま散歩に行く感じで出掛けて行った。
「……」「§‰@♯∀☆……」
社長は呆気に取られて、息子は桜がいなくなったにも関わらず意味不明な事を言い続けている。
コンコン…
そこに木之花グループの秘書らしき人物が入って来る。
「総帥よりの伝言でございます。
『急に散歩をしたくなったから、1・2時間程待っていて欲しい』だそうです。ここにポットとインスタントコーヒー、急須に湯飲み、お茶の葉がございますのでご自由にお飲み下さい」
秘書はそれだけ言うと素っ気なく出て行く。
「わざわざご丁寧に。どうも有難うございます」
社長は秘書の流れに流されて先程まで顔を真っ青にしていたのに、普通にお辞儀をする。
「そうか…お散歩か…仕方ないな、誰でも散歩をしたくなる時はあるし」
社長はいつの間にか先程までの恐怖を完全に忘れていた。これは羨ましい性格なのか、それとも可哀想な性格なのか…
父親と違って息子の方は立派に自分の「道」を一貫して実行していた。
そう、横にいる父親でさえ存在を忘れているのに、未だに全身でジェスチャーをしながら桜にアピールを続けているのである。



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