PiPi's World 投稿小説

華が香るとき〜外伝〜
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 34
 36
の最後へ

華が香るとき〜外伝〜 36

「……そういうわけで、他に収入が見つかるまで、油売らないといけないんです。学校の中でしか売れないし、放課後しか商売できないから、しばらくここの活動には参加できません。休日に何かイベントがあったら、出てきますから……」
確かに、これはとても部活動どころではないなと洋介は思った。
「よく分かりました……大変なのに入ってもらえて嬉しいです」
「時間ができるようになったら、顔を出してください。今日のところはこれ、お願いします」
貝丞は福名に、一通の書類を差し出した。
まだ部活動にはなっていないので、入部届ではない。部を新しく作るときに提出する書類である。
「はい……」
洋介に渡されたボールペンで、福名は書類に必要事項を記入する。貝丞がそれを大事にしまったところで、その日はお開きとなった。

「…………」
貝丞、福名と別れ、すっかり暗くなった道を自宅へと歩きながら、洋介は物思いにふけっていた。
待望の3人目の部員は見つかった。その資質も申し分ない。
しかし、毎日の活動に参加してもらえないのはどうにも寂しかった。何とかする方法はないものだろうか。
ガチャ……
「ただいま」
洋介はマンションに帰り着き、鍵を開けて中に入った。父はまだ帰っていないようだ。自室に入り、電気を点ける。
パチリ
(やるか……)
学生服を脱ぎ、全裸になった洋介は壁にかかった掛け軸の前に坐禅を組んだ。洋介直筆のその掛け軸には、こんな歌が記されている。

“人々よ 自慰を思いて 狂となり 痴となるほどに 自慰を愛せよ”

じっと瞑目した洋介は、次の瞬間、股間に手を添えて猛然と動かし始めた。
シュシュシュシュシュシュシュシュ!
単に快感を得るためだけの動作ではない。精神を統一し、深い思考の海に潜る儀式である。どんな困難な状況であっても、オナニーさえすれば、洋介の頭には決まって打開の名案が浮かぶ……というわけでは必ずしもないが、ともかく洋介は行為に没頭した。
「はぁあぁ……」
こみ上げる快感に身を任せながら、洋介は福名が部活に参加できる方法を模索する。だが残念ながら、この日はどうやら外れのようであった。
「ううっ! 駄目か……」
結局、射精に至るまで、これと言った考えは浮かばなかった。がっかりした洋介は、後始末をするべく立ち上がろうとする。
そのとき突然、部屋のドアが「バン!」と音を立てて開いた。顔を出したのは父である。
「ただいま洋介! すぐにメシの支度をするからな。おお、こりゃ済まん。途中だったか?」
息子の姿を見て、ばつが悪そうに頭をかく父。洋介はゆらりと立ち上がり、父の前に歩み寄った。
「ノックしろよ! いつも言ってるだろ!」
洋介はふわりと跳躍した。空中で前転しながら体を丸め、一回転する寸前で右足を伸ばす。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す