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華が香るとき〜外伝〜
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華が香るとき〜外伝〜 34

「ですが我々二人はどこにでもいるごく普通の高校生。あたかも没個性という言葉を絵に描いたがごとき存在です」
「とてもそうは思えないですけど……」
「そこでえっ!!」
貝丞は両手で、ガマ少年の肩をバンと叩いた。
「このカオスな世にあって、周囲とのギャップを意に介さず己の道を貫き通す侍を探し求めております。生徒会の妨害を排してまで単身薬を売るあなたに、是非とも参加していただきたぁい!」
血走った目で、貝丞はガマ少年の瞳を凝視する。駆け引きも何もあったものではなかった。
「え、ええと、あの……」
直球勝負を仕掛けられたガマ少年は、目に見えて困惑していた。貝丞は彼の肩から手を離し、一転して落ち着いた口調になる。
「無論、お返事は今でなくて結構です。お仕事もおありでしょうから、今日はこれで失礼します」
「す、すみません。そうしてくれると助かります……」
幾分ほっとした様子で、ガマ少年が言う。
「俺達の部室は、旧校舎の2階にあります。気が向いたらそこに来てみてください」
洋介は、ガマ少年に部室の場所を教えた。さらに彼は貝丞とともに、ガマ少年から油薬をいくつか買うことにする。時間を取らせたお詫びの意味も含めてだ。
「おありがとうござい……あ、これもどうぞ」
ぺこりと頭を下げながら、ガマ少年は二人に1枚ずつパンフレットを渡した。そこにはこう書かれている。

 “傷によく効くガマの油売ります。厚労省未認可品ですので、自己責任でご使用ください。ご用命は1年3396組、初雪福名まで”

「やっぱり相当の傾奇者だなあ、あいつ」
「ああ。できれば入ってほしいな……」
ガマ少年改め福名と別れ、確保した部室に戻りながら、洋介と貝丞は話し合った。二人は何故かこれ以上勧誘活動を続ける気にならず、部室に戻って時間を潰すことにする。
「手を使わなくても、オナニーってできるのか?」
「まあ、できないこともないな。残念ながら俺は浅学にして、17種類くらいのやり方しか知らないが……」
お茶をすすりながらとりとめのない会話をしていると、部室のドアを叩く者があった。
コン、コン
「あ、はい! どうぞ!」
いささか上ずった声で、洋介は答えた。この部屋に洋介、貝丞以外の人間が来るのは、初めてだったのである。一応部屋の外には“部員募集中”と大書した立て看板を置いていたのだが、何の部活か書いていない上、この旧校舎を訪れる者自体滅多にいないので、全く用を成していなかった。
ガチャ……
「お邪魔します」
ドアを開けて入ってきたのは、あのガマ少年福名だった。

「さっきのお話の、返事をしに来ました」
椅子とお茶を勧められた福名は、湯呑みを手に話し始める。洋介と貝丞は、やや緊張しつつ次の言葉を待った。

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