大好き。 5
「恭平…どういう事?あたしの事……」
「俺にもよくわかんないんだ…。でも、美晴とこれ以上離れたくないんだ!!」
(どうしよう。好きって言われたわけじゃないけど、嬉しい…。っでも!)
「何言ってんの!家も近くなんだし、会おうと思えばいつでも会えるじゃん☆恭平、仕事が忙しいから誰かに甘えたいんでしょ〜!」
「違っ」
恭平の言葉を遮るように美晴は続ける。
「だからさ、そんな時はいつでも連絡頂戴ね☆そしたら逢いにいから…じゃあね!」
バタンっ!
(これでいいの!今は恭平に彼女はいらない!だからこれで…)
美晴は家に入るなり目から泪が溢れ出た…
(なんで…なんで涙なんか出てくるの?私もう…恭平の事諦めたじゃない…告白した時にもうダメだって、わかったじゃない…)
美晴はその場に泣き崩れた。
声なんか出なかった。
ただただ息苦しくて、でも涙は止まりそうになくて…
(…強くなりたい…。強くなって、いっぱい幸せになりたい…。たとえ…私のそばに恭平がいなくても…)
美晴はそう思った。
「美晴…」
(俺は美晴とこのまま別れて後悔しないんだろうか…?)
恭平の心の中を想いが巡る…しかし動けない恭平。
刻々と時間だけが過ぎて行くのだった…
次の日、美晴は学校に遅刻して行った。昨日なかなか眠れなくて、起きれなかったからだ。
「はよー。」
「あっ、美晴!おはよー!」
「あれ?なに?自習?」
「うん、そうだよ!」
美晴はそう言いながら教室を見回した。
すると、窓側の1番後ろの席に男女10人くらいが集まっていた。
美晴は何かと思って覗いてみた。
体が動かなかった。
そう、その輪の中心には恭平がいた。
「あ、美晴!今日は恭平来てるよ!!撮影が順調にいきすぎてて、休みが増えるっぽいんだってさぁ!」
「…へぇ…そうなんだ」
みんな恭平が学校に来たことを喜んでいたけど、美晴はその逆だった。