大好き。 6
「恭平くんっ!ちょっといいかな?」
恭平を呼び出したのは隣のクラスの女子だった。すると…
「何だよ、恭平!早速呼び出しかよ!」
「うらやましいっ☆」
と騒ぎたてる周りの友達。
「うるせーなっ!」
と席を立つ恭平。それを見ていた美晴は胸が締め付けられる思いがした。
(どうして?恭平を諦めるって決めたじゃない!)
目から泪がでそうになる美晴…
「美晴、大丈夫?泣きそうな顔してるよ?」
「うん、大丈夫☆」
(泣いちゃダメ!笑わなきゃ!)
必死に泪を堪える美晴、その時
「藍島さん!」
美晴を呼ぶ声がした―
「なに?藤原君」
美晴を呼び出したのは、違うクラスの藤原慎介だった。慎介は身長が高く、顔もそこそこ良い。その上、柔道部で1番強いくせに、明るくて、誠実で、誰にでも優しいからかなりモテる。
「あのさ…俺、美晴ちゃんの事が好きなんです!俺と付き合ってくれませんか??」
美晴は一瞬びっくりしたけど、すぐに恭平が頭の中に出てきた。
「えっと、私…」
でも、諦めなきゃという想いが頭をいっぱいにした。
「もしかして…好きな人いる?」
「…いないよ!でも、私藤原君の事あんまり知らないし、お友達…みたいなのは…ダメ?」
慎介の顔が明るくなった。
「全然いいです!あ〜良かった!振られると思って告ったから、マジ嬉しい!!あ、美晴ちゃんのアド教えて?」
「じゃあ藤原君のもね」
美晴は知らないうちに自然に笑えていた。
何を隠そう美晴はかなり可愛い顔をしている。性格も良いので美晴の事を好きな男子は多い。
しかし、恭平と常に一緒にいたので告白する機会が少なかったのだ。
しかし、ここ1ヶ月恭平が学校に来なかったので告白の機会が増えたのだ。
そんな2人の楽しそうなやり取りを見つめる人影が―
「っ、俺以外の男の前で楽しそうに笑ってんじゃねーよ…」
恭平だ。彼は女子の呼び出しも断り、こっそり後を付け一部始終見ていたのだ。
(美晴を笑わせるのは俺だけでいいんだよっ!クソッ!)
恭平はやるせない気持ちでいっぱいだった…
その日の夜―
ブーブー…
「ん?メール…藤原くん?」
『嬉しくて、早速美晴ちゃんにメールしちゃった/// 迷惑じゃなかったらまたメールしていいかな?』
と書いてあるメール。美晴は…
「クスッ『全然迷惑じゃないよ☆これか・ら・も・メ・ー・ル・し・よ・う・ね・☆彡』っと」
返事を打つ。自然と笑っている自分に気が付き嬉しくなるのだった。
ブーブー…
「返事早いなぁ〜何て書いてあるかなぁ……恭平…?」
メールは藤原からではなく恭平からだった―
『逢いたい…』