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もうひとつの本当の優しさ
【青春 恋愛小説】

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もうひとつの本当の優しさ-2

「麻衣ちゃん急にゴメンね!」
バイトに来た凪沙さんに母が話しかけた。
「いいえ...何の予定もありませんでしたから...」
「そう言ってもらえると助かるよ」
父もまた申し訳なさそうに言った。
「もし良ければ24日は9時から出て来て欲しいんだけど....」
24日はケーキの制作で父も母も忙しいので凪沙さんに接客をお願いしたいのである。
「別にいいですよ...何時までですか?」
「出来れば最後まで....」
父が恐る恐る言うと
「わかりました。24日は9時に来ます。」
「ありがとう!助かるよ!」
父が安心したように言うと
「麻衣ちゃん本当にいいの?彼氏怒らない?」
母が言うと
「大丈夫です...私彼氏いないんで....」
「またぁそんな冗談を...麻衣ちゃんは可愛いからモテるでしょ?」
「私なんか全然.....」
「そうなの?麻衣ちゃんのまわりの男の子は何をやっているのかしらね!」
そう言って僕を睨んだ。
そんな目で見られても....僕は下を見て作業に没頭した....
実際....凪沙さんは可愛い....ストレートロングの天城さんとショートカットの凪沙さんは違ったタイプの美少女だ。ただし凪沙さんは黙っていればの条件が付く....喋り出すと止まらなくなる....明るいのはいいのだが....度が過ぎると....天城さんとは正反対である....凪沙さんの明るさを半分でも天城さんに分けてあげられたら....二人はかなりモテるだろう....誰もがそう思っていた....天城さんと凪沙さんは仲が良く、今はクラスが違うのでそうでもないが、去年はクラスが一緒だったのでずっと一緒だった。
「麻衣ちゃん!彼氏がいないなら賛なんかどうかな?」
今度は父が声をかけた。
「親の立場で口にするのもあれだが....賛は将来腕のいいパティシエになれる!私が保証するよ!だから麻衣ちゃんみたいに明るい子に来てもらえると嬉しいんだけどね」
「あら!お父さんもそう思ってたの?私もそう思ってた!どう麻衣ちゃん?」
母も同じように言い出した。凪沙さんは真っ赤な顔をして下を見ていた。
「ちょっと何言ってるんだよ!僕達まだ高校生だよ!それに今のセクハラ発言だよ!ネェ凪沙さん!」
「う...うん....」
凪沙さんはただ恥ずかしそうに下を見ていた。僕は凪沙さんの態度に少し違和感を感じていた。その時お客様が入ってきたのでこの話は終わった。



23日は翌日の準備だけでなくケーキの予約も結構あったので忙しかった。
「賛!これ届けてくれないか?」
父に言われて時計を見ると8時近くだった。
「こんな時間に?」
「ああ...ご主人が仕事の帰りに寄る予定だったんだが残業で遅くなるので寄れなくなったそうだ....だから頼むよ!」
「わかった!」
ケーキを受け取って店を出ようとすると
「待って!制服を着たほうがいいんじゃない?」
母が声をかけた。
「制服?」
「そう!あなたの制服!」
そう言ってサンタクロースの服を指差した。
僕がイヤそうな顔をすると
「雰囲気作りも大切なのよ!」
そう言われると断れなかった。僕はサンタクロースの服や付け髭などをつけ店を出た。完璧なコスプレ....誰一人僕とは気付かないだろう....
歩きながらポケットに手を入れると小さな箱が入っていた。明日店に来てくれた子供に配るクッキーを入れた箱だ。僕は何気なく箱を取り出した。何か違和感を感じ中を見ると空っぽだった。


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