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続・聖夜
【その他 官能小説】

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続・聖夜(後編)-1

「 新しい歌を主に向かって歌え。
  主は驚くべき御業(みわざ)を成し遂げられた。

  地の果てまですべての人は、
  わたしたちの神の救いの御業を見た… 」(詩編 第九十八章より)



サナトリウムに入院して半年ほどの期間のことを、私はよく憶えていない。

自分が何を考え、何をしていたのか…気がついたときは、いつも閉鎖病棟の保護室のベッドに
手足をベルトで拘束されていた。

部屋の小さな高窓に群がる無数の鴉の尖った嘴の恐怖に怯え、床に埋め込まれた白すぎるほどの
便器が、私の性器の中で肉色に変幻し、溶けだし、私の空洞をねっとりとした溶液でいつも息苦
しくさせていた。

私は性器の奥にいつも身震いするような疼きをおぼえ、鋭い刃物で膣奥を裂かれたいような幻覚
に襲われ続けていた。だれかに首を絞められる苦痛を欲しがり、気絶するほど肉体を虐げられた
いという欲情に身悶えし、ときには異物を性器の中に突き刺す行為を繰り返していた。


「…大丈夫ですよ…落ち着いてください…」

老院長とユキオさんは、鎮静剤を注射された私の耳元で、いつも優しく囁いてくれていたような
気がする。


私には、襲ってくる淫魔の妄想がどこからやってくるのか理解できなかった。苦痛を欲しがる欲
情がからだの中にねっとりと澱み、私の中には果てしのない暗い空洞がぽっかりと空いていた。
それは底のない沼であり、出口のない洞窟だった。私はその沼にどこまでも堕ちていくか、光の
見えない魔窟の中を彷徨い続けるしかなかったのだ。


私は精神薬とカウンセリングによる治療を続けた。そして、一年ほどのあいだに、少しずつ回復
の傾向にあったものの、ときどき襲ってくる濛々とした躁と鬱を交互に繰り返していた。



そんなある日、私は、遠いところからこの教会を訪れることになっている神父のことを、教会の
管理人から聞いた。

そのとき、私は何かを予感した…。

私はその神父にぜひ会いたいことを管理人に申し出た。そして、あの日、私はあの教会の入り口
で、神父に初めて出会ったのだった。

彼の姿に、私が抱いていた幻影は、強い感情とともに渦を巻きながら歪み、その幻影の中に、私
は胸を掻きむしるような息苦しさとともに吸い込まれていった。


私は、自分がなぜあのとき、神父に鞭で打たれることを申し出たのかわからなかった。
初めて出会ったあの神父が、私の実の父親であることを予感したとき、私は母麗子に対する烈し
い嫉妬に襲われたのだった。そして、嫉妬は、悪魔の囁きに変わり、得体の知れない背徳的な欲
情へと変わっていった。



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