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本当の優しさ
【青春 恋愛小説】

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本当の優しさ-9

「ゴメンね和哉....急にバイトが入っちゃって.....来週のクリスマスイブは休みもらったから....」
明日の土曜日和哉とデートの約束していたのだけど、急にバイトの女の子が休む事になり私が変わる事になった。その変わりに24日は休みをもらえたのだった。
「仕方ないよ....24日は休みもらえたんだから...」
「本当にゴメンね!」
私は携帯を切って鏡を見た。
ここのところお互いのタイミングが合わず和哉とデート出来ないでいる....学校で顔を見ているので全く逢えない訳でない....しかしずっと逢っていない気がする....以前聞いた和哉の噂....本当は和哉本人に否定して欲しい....その機会さえ持てないでいる....あの時見てしまった和哉の笑顔が頭から離れない....千春さんに見せていた笑顔....何故なの?....私じゃなくって千春さんなの?....私が気付かないうちに和哉の気に障る事をしてしまったの?....そんな事ばかりが頭に浮かんで来る....いけない....以前の自分に戻っている....自分に自信が持てずに後ろばかり見ていたあの頃に....
「ねぇ和哉....そんな事気にする事ないよ!って笑い飛ばして....私を安心させてよ....」
私は鏡の中の自分に話しかけていた....



明日のデートの約束が美咲のバイトの都合でキャンセルになったと聞かされた時俺は心のどこかでホッとしていた....別にやましい事をしている訳でない....しかしなんとなく気が引けた....最近学校で美咲と話していても緊張してしまう....どんどん光輝いて行く美咲に対して取り残されている自分....美咲の事をアイドルのような自分とかけ離れた存在だとどこかで感じ始めている自分がいる....だから緊張してしまうのだろう....しかし美咲は今までと変わらない態度で接してくれる....その事が美咲に対して気が引ける理由なのだろうか....そんな時に天城さんと再会して話しているうちにどこか安らぎを感じ始めている....天城さんの存在が俺の中で大きくなっているのも事実だ....もしかしたら昔の感傷に浸っているだけかもしれない....こんな中途半端な気持ちのまま美咲とデートしたくない....今度は美咲を傷付けてしまう....そう思ったから....多分ホッとしたのだろう....
「俺は何をやっているんだ....」
ベッドに寝ころんで呟いていた....



次の日コンビニに行く途中で偶然逢った天城さんと話していると
「カズヤァ!お前何やってんだ!」
直輝が飛びかかって来た。
「ちょ...ちょっとやめてよ直輝!」
理彩が慌てて直輝を止めに入った。
「こいつがお前に何をしたのか忘れたのか!!」
直輝は理彩を振り払って俺の胸座を掴んだ。
「離せよ!」
直輝の手を振り払って天城さんを見ると....真っ青な顔をしていた....
「ゴメンナサイ...本当に....ゴメンナサイ....」
そう言って天城さんは泣きながら去って行った。
「ちょっと直輝何があったのよ!彼女泣いてたじゃないの!」
理彩が直輝にくってかかった。
「あいつは....」
直輝は俺が話した事を理彩に話した。
「そんな...あの子はそんな子じゃ....」
中学が一緒だったので理彩も天城さんの事は知っている。
「俺も和哉の話を聞くまではそう思ってたよ....」
「違うんだよ!」
俺は隠さず全て話した....最近知った事を含めて....
「わかったよ....でもお前には北原ちゃんがいるんだからな!彼女を泣かせたりしたら承知しないからな!」
「わかってるよ!」
「それならいいよ!」
直輝は理彩と歩いて行った。
直輝に言われなくてもわかっている....俺には美咲がいるって....




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