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本当の優しさ
【青春 恋愛小説】

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本当の優しさ-7

期末試験後の冬期講習がある為学校は休みにはならないが、講習は午前中だけなので午後からは休みになった。その日美咲はバイトが入っていて直輝と理彩はデートだというので、雑誌でも立ち読みする為に本屋に行く事にした。
本屋に向かい歩いていると一人の少女が目に入った。もしかしたら....天城さん....そんな思いが頭をよぎり歩く速度をおとした。
しかし偶然天城さんが振り返った為に俺の存在を気付かれてしまった....
「あれっ木下君....どこに行くの?」
俺は何で気安く話しかけて来るんだよと思いながらも
「暇つぶしに本屋にでも行こうかと思って....」
正直に答えてしまった....
「私も!本屋に用事があって....一緒に行こう!」
笑顔で話しかけて来る天城さんを見て
「うん....」
思わず頷いてしまった....
暫く取り留めのない話をしているうちに、過去にこだわっている自分が情けなくなり、そのうち以前のように話せるようになった。
「本屋には何の用事があるの?」
「英語の参考書が欲しくて.....あっそうだ!木下君何がいいか教えてくれないかな?」
「そう言われても....英語は授業ついていくのがやっとで....参考書がどれがいいかなんて....」
「何言ってるの?朱羽で授業についていければ、うちの高校じゃトップクラスじゃないの!」
「そんな事ないよ....美咲ならわかるかもしれないけど....」
そう言って俺はハッとした。
「美咲さん英語が得意なの?」
天城さんは気にしていないようだった。
「まあね....」
「じゃぁ.....美咲さんが使っているの教えてくれる?」
「いいけど....」
俺は棚から参考書を取り出して天城さんに渡した。天城さんはその参考書の中を確かめて
「私もこれにするね!」
そう言って俺に微笑んだ。以前と変わらない笑顔だった...
「木下君に彼女が出来たのなら言ってもいいよね...」
本屋からの帰り道天城さんが呟いた....
「私の事....酷い女の子だって思っているでしょう?」
「イヤ....別に....」
「気を使わなくてもいいのよ....自分でもわかっているから....」
「天城さん?」
「あの時...木下君の事嫌いになった訳じゃないの....木下君が本当に私の事好きなのかな?って不安になっちゃって....バカだね....自分の彼氏を信じられずに試すような事....だから罰が当たったんだね....」
「.........」
俺は何も答えられなかった....
「ゴメンね....木下君...こんな所もし知った人に見られたら....木下君が困っちゃうだろうから....私行くね!」
天城さんは涙を流しながら走って行った。俺は呆然と天城さんを見送っていた。あれは俺の勘違いだったのか....天城さんは俺の事嫌いになった訳じゃなかったのか....天城さんを不安にさせたのは....もしかしたら俺のせいなのか....俺があんな態度をとっていたから....だとしたら悪いのは俺じゃないか....俺のほうが誤らなければならないんじゃないのか....しかし俺は天城さんになんて言えばいい?....天城さんの勘違いで俺はあの時天城さんの事が....そんな事言える訳ない....俺には美咲が....このまま何もしないのが一番いい....そんな事はわかっている....でも....いつまででもそんな堂々巡りだった....




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