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本当の優しさ
【青春 恋愛小説】

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本当の優しさ-6

しかし別れは突然やって来た....その日俺は今までの事を謝って、これからは堂々と外でも一緒に歩こうと言おうと思っていた....
高校入試も終わり、卒業を控えたその日、俺は天城さんと公園で待ち合わせた。
「遅れてゴメンなさい!」
天城さんはいつも礼儀正しいのだがその日はどこかよそよそしかった....
「木下君は私の事をどう思ってるの?」
天城さんはいきなり俺に聞いてきた....
「えっ?」
俺はいきなりの事で言葉に詰まってしまった....本当は天城さんの事が好きなのだからそう答えるべきだったのだが....その時の俺には....好きだっていうたった一つの言葉が出て来なかった....
「.....やっぱり.....」
天城さんの顔が暗くなっていった....
「木下君は優しいから...言い出し難いのかもしれないけど....そんなの優しさでも何でもないよ...」
俺には天城さんが何を言っているのか....何を言いたいのか....わからなかった....
「別れましょう....」
「えっ.....」
突然の事で俺は言葉も出なかった.....
「サヨナラ」
天城さんは俺に背を向けて歩き出した。少し歩いて立ち止まって
「追いかけて来てくれないんだね.....」
天城さんはそう言って走って行った....俺はただ呆然と天城さんを見送っていた....
「何なんだよ!俺が何したっていうんだよ!」
俺は訳がわからずベンチに座り頭を抱え込んだ。
「何やってんだ?こんな所で」
顔を上げると直輝が立っていた。
「直輝かぁ.....誰にも言うなよ!」
そう断って天城さんとの事を話した....自分に都合良く編集して....
「天城さんって....おとなしそうなイメージだったんだけどなぁ....」
「そうだな....」
直輝はそれ以降天城さんの話題を俺の前でする事はなかった....俺も天城さんの事を考える事もなかった....
(天城さんが今でも俺の事が好きだって....ウソだろう.....)
そんな思いが頭の中を回っていた....



次の日美咲と街を歩いていると美咲の携帯が鳴った。美咲は着信番号を確認して
「ゴメンね!」
そう言って俺から少し離れて行った。
「お姉ちゃん何か......」
俺は美咲の話し声を聞かないように携帯のメールのチェックをしていた。
「木下君!何してるの?」
後ろから声をかけられた。振り返ると天城さんが立っていた。
「今デート中....」
俺は少しぶっきらぼうに答えた。
「えっ?彼女さんは?」
天城さんは周りを見回していた。
「和哉!お待たせ!」
戻って来た美咲が天城さんを見て
「どちらさん?」
俺に尋ねた。
「木下君の中学の同級生で千春です。」
美咲に頭を下げた。
「美咲です....」
美咲もつられて頭を下げた。
「美咲さんかぁ...可愛い人だね!.....良かったね!こんな可愛い人と付き合う事が出来て!」
「うん...まぁ....」
俺が照れていると
「あっ!邪魔してゴメンね!」
そう言って歩いて行った。「明るい子ねぇ」
美咲が呟いた。
「中学の頃は今とは反対だったんだけどね!」
「それじゃあ私と一緒で...自分を変えようと思ってて...何かをきっかけで変える事が出来たんだね!」
一瞬もしかしたら俺との事があったから?って思ったが天城さんから別れ話を切り出したんだからそんなハズないと直ぐに否定した。
「和哉!行こう!」
俺の右手を掴み歩き出した美咲に
「あっ!待って!」
俺は引きずられるように歩いて行った。




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