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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第2部 SM観の大転換-5

5.『ジャン・クリストフ』

世界の名作で、文庫になっている本、・・・だったら、これ!

私は迷うことなく、ロマン・ローランの『ジャン・クリストフ』を選びました。
いつかは読もうと思っていながら、気おくれがして読めずにいた本だからです。
そういう、全力でぶつからなければ本でないと、一緒に読んでくださるずっと
大人であるご主人様(このときはまだΣさんと呼んでいましたが・・・)に対
して、申し訳ないという気持もありました。

『ジャン・クリストフ』にしたいと、メールでご連絡すると、
「ほう、それは素晴らしい選択ですね。
私は高校のときに1度読んだきりだったけど、今読んだらどのように思えるか楽しみです。
昔は8分冊だったけど、今は4分冊になったようですね。
小説が始まる直前にあるロマンローランの言葉に励まされたのを、今でも覚えていますよ」
と、お返事をくださいました。

気になって、早速本を手にとってそこのページを開いてみると、
「いずれの国の人たるを問わず、
苦しみ、闘い、ついには勝つべき、
あらゆる自由なる魂に、捧ぐ
               ロマン・ローラン    」
と、書かれていました。

ご主人様にはたいへん申し訳ないのですが、ほんとにダメな私はそのときには、この言葉を読んでも、「苦しみ」まではできるけど「闘い」はへこたれそうだから、「ついには勝つ」は相当難しいんじゃないかと思ったりしていました。

でもご主人様はそんな私を、後に「ついには勝つ」まで導いていってくださったのです。





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