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「Wing」
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「Wing」-18

「弓矢隊第一波、構え。十分に引き付けよ!」
敵最前列の歩兵が長槍を構え、横一列に突っ込んでくる。
「今だ、放て!!」
一斉に矢が放たれた。弓矢をうけて倒れる者もいたが、それらを乗り越え、止まらずにこちらへ走って来る者の方が断然多かった。
「第二波、放て! 第一、第二投石隊、投石機の準備を。残りの者は飛石を持て!」
再び矢が飛ぶ。それでもなお、止まらない敵前線。
「飛石隊、放て!」
布で振り回され、勢いのついた握り拳大の石が雨のように空から降り注ぐ。頭に当たり意識を失ったり、肩や腕に当たり骨を折る敵兵が続出しているようだ。

あちらから、刃先に袋を付けた矢が降り注いでくる。続いて火矢が飛んで来た。袋の中身は恐らく油。そこら中で炎が上がっている。
「敵櫓隊、正面より攻撃! 架け梯も来ています!」
「落ち着け! 城内の歩兵隊、消火に廻れ。第一、第二投石隊、櫓へ大岩を放て! 梯は来る物から落とせ! 全兵突撃! 敵軍の進攻を食い止めよ!」

直径三メートルはありそうな岩が櫓へ向けて飛ばされる。直撃はしなかったが脚の破壊に成功する。
壊せなかった櫓が壁につけられ、そこから敵兵が次々乗り込んで来る。架け梯からも続々上って来た。
「全弓矢隊、投石隊、剣を持ち、歩兵隊と共に敵兵を迎え撃て! 城外の兵はあの櫓を落とせ!」
先程までの遠距離戦から、一転。戦は接近戦へと移行する。


「敵壊門車、大門前に来ました!」
「付近の兵は全てそこへ廻れ! 絶対に門を開けさせてならぬ!」
轟音が響く。厚い木の門が軋んだ悲鳴を上げ始めた。




鈍い音を出してはいるが、十数人で押さえているため、開けられる事はないと思われた。が、たった一度の爆発音で門に大きな穴が開けられ、押さえていた兵士が皆吹き飛ばされた。
「石爆!?敵が正面より進入して来ます!」
「城外の兵士もあちらへ廻れ! 敵の進行を食い止めよ!」
「敵兵が多すぎて動けません!」
「誰ぞ、向かえる者はおらぬか!」

王の声を掻き消すほどの大きな叫び声と共に、門付近の敵兵が倒れていく。


門から迫り来る兵を順に沈めながら、一歩ずつ門の外ヘと歩んでいく長髪の少年。
見れば少年の手に武器らしい物はなに一つ無かった。
一人の敵兵がレオンに襲い掛かる。剣を真横になぎ払い胴体を狙ってくる。大きく後方に飛び退き、相手が飛び込もうとした所をカウンターで踵落とし。兜越しに衝撃を与え、頭蓋骨に響きを味わあせる。
敵兵数人が四方から槍で突きに掛かる。膝のバネを最大限に使って跳躍。正面にいた男の肩の上で左足を軸にして、頭部に下段蹴り。残りの相手も槍を突き上げてくるが、飛び移って両足で踏み付ける。槍相手では接近戦の方が有利である。踏み付けた敵兵が崩れるのとほぼ同時に再び飛翔。左隣の男に肘落としを叩き込み、地に足を着いた瞬間に反対側の奴に右足を突き出してそいつの体勢を崩す。そのまま下ろした右足で懐に潜り込み顎に飛び膝蹴りを喰らわせる。
騎馬が二騎、少し離れた所から走ってくる。一騎が剣を走りざまに振り降ろしてくる。それを姿勢を低くし横に避ける。避けた先にもう一騎が弓矢を放ってきた。今度は地を転がりそれをかわす。二騎共が通り過ぎた。馬を翻そうと止まった瞬間、弓矢をつがえた方の兵士に飛び蹴りをお見舞いする。残りの剣の方は初太刀をかわし、もう一度傍を通り過ぎようといた時に足を掴んで馬上から引きずり落とし、そのまま地面に叩きつける。
その後も相手の斬撃をかわし続け、兜越しに相手を蹴り上げ、鎧の上から打撃を与え敵を戦闘不能にする。無表情のまま瞳だけが妖しく輝く……




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