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「Wing」
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「Wing」-17

第六章〜戦〜




あれから二日後、城内は城下町に住んでいる人でごった返していた。
「国民の避難、完了しました!」
人群れの中から声が聞こえた。
昨日、東の砦が落とされたらしく、敵はすぐそこまで迫って来ている。
「全兵に注ぐ! 速やかに宮廷に集合せよ! 繰り返す! 全兵、速やかに宮廷に集合せよ!」
声が高らかに響き渡る。今、訣別の時。妻に別れを告げる者。泣き続ける恋人を抱き締める者。我が子を抱き上げる者。皆、その元を離れ、去って行く。

「レオン……」
そろそろ行こうかと思っていた矢先、突然背後から呼び止められる。振り返ってみるとそこにはクレアが立っていた。
「やっぱり行くの?」
「……悪いな……確かにクレアの言う通り、俺も出来るだけ戦いたくない。それに俺一人、居ても居なくてもそんなに変わらないだろう……」
「じゃあ何で!?」
「……でも、俺が戦えなくしてしまった奴等の分くらいは戦ってやりたい……」
「……」
「……あいつらの大切なものぐらいは守ってやりたい」
「……わかった。もう止めない。でも一つだけ約束して」
「何だ?」
「絶対に、絶対に生きて帰って来て」
「約束する……必ず帰って来る……」
その言葉を最後に、背中の大剣を背負い直し、歩き出す……遥か遠くを目指すように……





「全弓矢隊は国壁上に、全騎馬隊、及び第一歩兵隊から第九十歩兵隊は国壁外にて敵を迎え撃て。第九十一歩兵隊から百十歩兵隊、投石隊は国壁内で待機。全ての投石機を準備しておけ! 残りの歩兵隊は城内外の護衛に廻れ!」
ここで説明―国壁とは街全体を囲んでいる物で高さ約十メートル。出入口は東に一つ門がある―

脚が震えている、顔を真っ青にしている、額に手を当て何か呟いてる。皆それぞれであった。
「戦が恐ろしいか?」
王がゆっくりと語り始めた。皆を見渡しながら、一人ひとりの顔を確認する様にして。
「確かにワシも恐ろしい。戦ならば当然死者も出るだろう。だが、恐れているだけでは何も出来まい」
ゆっくりだった語調が少しずつ強く、少しずつ速く、次第に激しくなっていく。
「皆武器を取れ! 己の大切な者を守るために、己の未来を掴み獲るために!」
『オオオォーーッ!!』
もう恐怖に体を震わす者はいなかった。各人、武器を取り、己を奮い立たせ、持ち場へと足を向ける。





「――敵前衛見えて来ました。兵数は三万を越していると思われます!」
「多いな……思えば先の大戦の引き金になったのもあの国であったな…………」
敵兵数は恐らく全体の四分の一ぐらい。それでもこの国の二倍はある。
「王は城内へお下がり下さい」
「この様な時に国を守らずして何が王か!?戦わずして何が王か!!」
「分かりました……それでは御武運を……」

仕方なく引き下がる太った文官。数人を連れて城へ戻って行った。

「各軍、指揮はワシがとる。敵を絶対に城内に入れるな! 命を賭して戦え!」
戦場まで赴き、軍師の隣で声を張り上げる自国の王に、皆が心を震わせた。




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