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fantasy ability
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reality ability‐第13話‐皇希の【真】の力と“刻印詠唱”‐-5

第1世界、始永界・晴那自室‐

「‥‥また動いたようね。彼の“イレギュラー”が‥‥」

晴那が呟く。‥‥身体には襲撃の傷があるが、ある程度が治っている。彼女がある一点から目を離さなかった。
彼女の雰囲気からは緊張感が漂っている。‥‥呟いたのではなく、言ったのだろう。すると、

「‥‥そのようね。今、“深淵なる真実”が動き回り始めるわ。」

そこには晴那の傷を負わせた者がいた。晴那は警戒心を醸し出しているが、彼女は‥‥何もしなかった。

「‥‥“繰り返される運命”を私が創ってしまった。けど、‥‥」

不意に晴那が言った。‥‥その表情は自分の創った事に後悔していなかった。

「‥‥“ある者”は“運命”を変えた。その結果が“今の皇希”。そして、‥‥」

彼女が晴那の言葉に続き、言い放った。

「‥‥“今の皇希”が“全ての真実”を解き放ち、“仕組まれた運命”を変えようとしている。‥‥‥これが“イレギュラー”の正体。」

晴那と彼女は皇希の事を言っていた。この事が“真実”。‥‥‥なら、彼女が言った“全世界の何か”が変わるのかは不明だった。
しかし、“皇希のイレギュラー”の一つは彼女だろう。彼女はこんな事をする予定がなかったからだ。
それが皇希にとって“何か”は知らないが、無意味な事はやらないだろう。‥‥今。“全世界”が動き出すと言っても過言でもないかもしれない。
すると、彼女が会話の内容を変えてきた。

「‥‥今、貴女には攻撃する気はないわ。‥‥これも無神 皇希に“仕組まれた”から。」

彼女ははぁと溜め息を吐くと、近場の椅子に座る。‥‥晴那は警戒心を緩めないが、心の何処かで彼女に安心感を感じていた。
彼女は晴那の雰囲気に気が付いているようだったのか、‥‥その事を言い放つ。

「‥‥統神 晴那。貴女には“明るい未来”が約束されているわ。皇希が‥‥彼が“全ての関係者”を導くからね。」
「どういう事‥‥ですか?」

晴那はその言葉を不思議に思う。そして、晴那の口調は躊躇いは多少あるものの敬語だった。

「いずれ解るわ。私の事も、貴女自身の事もね。‥‥もしかしたら、彼が“最強の自然法なる器”の所有者だから。」
「‥‥“自然法なる器”‥‥?」

聞いた事がない言葉に晴那は解らなかった。‥‥‥それもそうだ。彼女が言った言葉は“真実の真実の真実”だろう。

「‥‥焦る事じゃない。“全てを受け入れた彼”になれば、“絶命”が明らかになるわ。そして、‥‥何でもない。」

彼女は寂しそうに暗い表情になった。そこには何かを求めているように晴那は感じた。

「‥‥気にしないで。‥‥当分はこの世界に居るわ。貴女が私を必要とするはずだから、適当に呼びなさい。‥‥名前は永よ。これ以上の私の事は言わないから。じゃあね。」

彼女は‥‥永はそう言い残して即座に扉から出ていった。晴那は永と聞き、思い出していた。そして、

「‥‥‥?‥‥‥!!!待ってください!」

だが、時既に遅しだった。晴那が扉を開け、周囲を見回すと居なかった。晴那が悔しがる。

「‥‥永。‥‥“大神 永(おおがみ はるか)”。“全世界最重要人物”だったのに。」

晴那は呟き、部屋に戻った。‥‥‥そこから少し離れた場所に‥永はまだいた。

「ごめんね。───でも甘やかす事はしないわ。私には“彼の目的通り”に動きたくないから。」

永はその場を後にした。‥‥‥一方、晴那は何処かに連絡していた。





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