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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん13-3

それが本当なら…。
ホッとした様な…嬉しい様な表情を堪えきれない僕。
“やったぁ――!!”
声に出してそう叫びたい気分だけど。
鵬蓮さんは…ニコリともしてない。
してないどころか結構、険しい表情。

そんな顔を見てるとちょっと不安になってきた。
「あ…あの?ぼ…僕は何をすれば?」
訝しむように鵬蓮さんの表情を盗み見る僕。
なんだろう?一体…。
鵬蓮さんのもたらす雰囲気に僕は…チムドンドン。

「わたくしを抱きなさい」
真剣な顔のまま小さく呟く鵬蓮さん。

「へ!?」
驚いた!!
正直…驚いた。
抱くって、エッチしろ…って事だよねぇ!!
ってか鵬蓮さん。
僕とエッチするのが嫌でそんな表情なの。
僕は…。
お菊ちゃんの事が大好きだし。
けど…鵬蓮さんは魅力的だし。
エッチしろと言うならって感じだし。
けど何でそんな表情?
……って色んな気持ちが入り交じって、とっても複雑な心境。
でも…顔はだらしない感じになってるんだろうなぁ。
いかん!こんな事ではいかん!
全てはお菊ちゃんと僕の為だ!!
「あ…あの…鵬蓮さんとエッ…いえ、鵬蓮さんを抱けば…僕はお菊ちゃんとこの後も一緒に生きて行けるのですか?」
エッチと言う言葉を封印して気持ちを引き締める僕。

静かに頷く鵬蓮さん。

なら…。
「鵬蓮さん!お願いします!」
やましい気持ちじゃないのだ…そう自分に言い聞かせ、鵬蓮さんに頭を下げる僕。

「判りました…ただ」
わっ…鵬蓮さんの顔つき、益々重くなってる。

そんなに嫌なのぉ。
ちょっと悲しくなる僕。
ん?けど…『ただ』?
「ただ?…何ですか?」
あくまでも真剣な話だから…真剣に尋ねる僕。

「わたくしと交われば…俊樹さん、貴方は今後棘の道を歩む事となりますが」
依然、表情は晴れない鵬蓮さん。

そうか…。
そう言う事か。
やっと納得の僕だけど…。
「い…棘の道とは?」
やっぱ気になるよね。

「貴方はこの先、多くのこの世の者でない者達と関わり持つ事になります」

お化けをよく見る…って事?
それなら今さら…って感じもしなくもない。

「かの霊…『お菊さん』の様に友好的な霊も中におりますが…その殆どが貴方に害を為す者でございます」
鵬蓮さんの瞳…ちょっと怖くなってる。
それだけ真剣ってこと?

ゴクッ――。
僕も生唾を飲み込んで神妙な面持ち。
恐いオバケかぁ…。
ん?元々、オバケって恐い物じゃないの。
だったら…何とか乗り切れるさ!

更に続ける鵬蓮さん。


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