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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん11-2

「あのう?なんでしょうか?」
思いっきり訝しげる僕。
そりゃそうさ…今はお菊ちゃんとラブラブの僕だけど。
今までの人生…この手の呼び止められ方をした時はキャッチセールスやら。
宗教等の勧誘やらとましな事がなかったからねぇ。
だからついついガードを固めちゃう。

「私は鵬蓮と申します…少し話をさせて頂いてよろしいですか?」
僕の透明バリアを敏感に察知したのか。
女の人が名乗ってきたけど…如何にもって感じの名前だよ。

やっぱ宗教関係!?

「宗教の勧誘ではございません」
わっ!丸で全てお見通しって感じの薄い笑みを湛えた鵬蓮さんの瞳。
その瞳で僕をジッと見つめてる。

けど…。
そーなるとそれはそれで。
色々と心当たりがアリまくるし。
ガードを緩めるはいかない。
「では…何の御用ですか?」
勤めて冷静に…隙を見せないように尋ねる。

「実はね…貴方から通常で考えられない気を感じるのよ」
鵬蓮さんも極々自然に不可思議を事を言ってのける。

ドキッ!
どうやら間違いなく鵬蓮の話はお菊ちゃんに関連してゆきそうだ。
平常心だ…平常心。
僕は自分に言い聞かせながら…。
「はははっ…残念ながら僕は何処にでもいる高校生ですよ…それじゃ」
すっとぼけると足早にその場を去ろうとするけど。

「貴方の命に関わる事よ」
滑る様な素早い動きで僕の前に回り込む鵬蓮さん。
ヤバそうな事をさらっと口にしてる。

「な…なんの事やら…」
あくまでもトボケ通そうとする僕だけど。
命に関わる事って言われちゃうと元々、小心者の僕。
なかなか冷静ではいられなくなってしまう。

そんな僕の動揺を見抜いている様に…ちょっと冷たい笑みを浮かべている鵬蓮さん。
そのつり目は命が大事なら話を聞け…って暗に脅しているみたい。

「じょ…冗談は止めて下さい」
それでも踏ん張り処とばかりに僕は…。
鵬蓮さんの視線を撥ね付けると、その横を通り抜けた。

「まぁいいわ!」
僕の背中に投げ掛けられる鵬蓮さんの声。
少しトーンが上がってる。

その声にギクッとして歩みが一瞬止まる僕。

「また逢いましょう…俊樹くん」
更に僕の背中に追い討ちをかけてくる鵬蓮さん。

けど…なんで!?
なんで僕の名前を知ってるの!
薄ら寒い恐怖を感じ始める僕…その恐怖から逃れるように、いつの間にかバタバタと走り出していた。



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