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七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-
【性転換/フタナリ 官能小説】

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-続・咲けよ草花、春爛漫--2

「ミハルちゃーん、部員入った?」
「入ってねーよ。ちょうどいい、お前ら入れ」
「ミハルちゃんがおっぱい揉ませてくれるなら入ってもいいよ。もしくは小日向ちゃんとの一日デート権とか」
「アホかお前ら! んなもんやるわけねーだろ。入らないなら邪魔だ、しっしっ」
寮の悪友共を追い払うと、俺は溜息をついた。
放課後の学校の中庭は、新歓ムードでいっぱいだ。五十近くあるサークルのブースがひしめき合い、運動部の活気ある呼び込みと新入生の「どのサークルにしようか」なんていうフレッシュな会話は途切れることがない。
俺はというと、文藝研究会のブースで受付をしていた。受付、といっても呼び込み兼受付だ。さっきまで運動部に交じって新入生に声をかけていたが、いかんせん地味なサークル。なかなか立ち止まってくれる生徒はいない。
立ち止まってくれたかと思えば、こんな悪友共だ。

「誰も来ねぇ」
俺はすっかりやる気をなくして、サンドイッチマンとして提げていた「文藝研究会 部員募集♪」と書かれた段ボールを横目に呟く。
「お疲れさま、ミハル君」
そんな声と共に、机にお茶のペットボトルが置かれた。
「小日向」
小日向は俺のことを“ミハル君”と呼ぶ。彼女の、“ミハルちゃん”呼びしたいとの申し出に、俺は思わず“ミハル君”ならいいと承諾してしまったのだ。俺がこの呼び方を許したのは小日向だけだが、鈴代をはじめ、クラスや寮の奴等、更には御形先輩まで、皆が“ミハル”と呼んでくる。最近ではいちいち呼び方を訂正するのにも面倒になってきた。
「悪いな。全然人入んねーや」
机の上にはまっさらな入部受付表のノート。俺は苦笑し、小日向に礼を言ってペットボトルを開けた。
「仕方ないよ、興味ある子は文学部に行っちゃうのは毎年のことだから。うちの文学部って知名度高いしね」
彼女は言って、自分用のペットボトルを開けてぐっとそれを呷った。
「でも、せめて二人は欲しいよね」
肩を竦める小日向に、俺は頷く。
御形先輩と田平先輩が引退したら、文藝研は俺達二年の三人だけになる。文藝研の存続には、あと二人は必要となるのだ。
「ま、あと四日あるしな。気長に行こうぜ」
正直無理じゃないかと思っていたが、小日向の手前、俺はそう言って笑みをつくった。
小日向もそれに頷いて、頑張ろうねと笑みを浮かべた。
(うう、やっぱり可愛いぜ)
こんな身体だから、今ではもう小日向を彼女にしたいと思っていないけれど、彼女のこの笑顔のためなら頑張ってやろうと思う。
俺は段ボールを手に取り、それを身体に取りつけた。
「ミハル君」
「小日向がここにいてくれるなら、俺一回りして宣伝してくるよ。ひとりくらい、とっ捕まえて連れてくる」
親指を立てる俺に、小日向はありがとうと言って手を振った。
(そんじゃ、行きますか)
心の中で意気込んでから、文藝研を宣伝すべく、俺は人込みの中を掻き分けて行った。
――その時俺は気付いていなかったんだ。俺を見つめる、二つの視線に。


それは新歓最終日のことだった。
「部員が入ったぁ!?」
俺が素っ頓狂な声を出すと、傍らの鈴代も驚いたような表情で声を上げた。
「女の子か!?」
そこをまず訊く辺り、こいつ流石だなと変なところで感心してしまう。
小日向は頷き、入部受付のノートを開いた。
「うん、女の子と男の子ひとりずつ。あんまり小説とか誌に興味はないって言ってたけど」
「?」
彼女の言葉に顔を見合わせる俺と鈴代。
小日向は俺の肩をぽんと叩き、遠い目をしながらこう言ったのだった。
「ミハル君……罪な女ね」
「あのね、小日向。事情はよく分からないけど、せめて罪な男って言ってくんない?」



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