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七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-
【性転換/フタナリ 官能小説】

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-続・咲けよ草花、春爛漫--19

「なあ、赤団の士気を上げるためにも応援団やってや」
「……分かった」
頷く俺。紺野は瞳をきらめかせる。
「ほんま!?」
「ただし!」
人差し指を立て、俺は条件を出した。
「ただし、俺は体育祭は女登録で出るからな。応援団だって、学ラン着るぜ」
「えー」
「それを了承してくれないと、俺は出ない」
「ちぇー、しゃーないわ。残念やけど先輩ら説得してみるわ」
俺は溜息をつく。しかしそこまでして応援団に入って欲しいのかと思うと、やはり嬉しいもので。
紺野の説得という言葉も聞けて、俺は安堵し、俄然体育祭が楽しみになったのだった。


「明日は種目決め、明後日からいよいよ練習か」
呟いて俺は空を見上げる。ちょっと気分が晴れたが空はまだ暗いままだ。
心配ごとはこれでひとつ消えた筈なのに、何かもやもやしたものが胸に引っかかっているのを感じた。そしてそれは、これから起こるある出来事の予感だったのだと、この時の俺はまだ知らなかった。

「よう、芹沢」
「げ……っ、や、八手……」
嫌な予感がしていたんだ。
八手陽司(ヤツデヨウジ)――見るからに悪辣な面の男。俺の親父並のガタイのよさにその長身。羨ましいぜこの野郎、ってそうじゃなくて! この状況は非常にマズい。
「三ヵ月ぶりか? 会いたかったぜ」
三階の物置となっている空き教室の前で、俺は八手と鉢合わせてしまった。
奴は俺を見るなり教室の中へ押し込むと、逃げる俺を壁際まで追い詰める。
「っ……俺はこれっぽっちも会いたいなんて思ってないけどな」
「ツレねぇなぁ、相変わらず」
余裕のない俺に対し、八手の表情と物言いは余裕そのものだ。
壁に手をつき顔を近づけてくる八手。
「先週停学が解けたんだぜ」
知っていた。だからこそ、この空教室付近をうろつくのはまずいと思っていたのに。思っていた筈なのに、俺はついうっかり資料を探すためこの教室に来てしまったのだ。
まさか本当に鉢合わせるとは思っていなかった。
「まあ、いい。てめぇに引っかかれた傷は倍にしてやるからな」
「く……っ」
「どうした? 別にいいんだぜ、逆らっても。だが、その場合どうなるかは覚悟できてんだろうな?」
俺は唇を噛み締めた。
こいつがどうしてこんなに高圧的な態度をとるのか。そして、どうして俺がそれに逆らえないでいるか。それは、俺がこの男に弱みを握られているせいだ。
例の、鈴代との関係を知られてしまったのだ。
それは本当に迂闊だった。



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