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七ノ森学園♂♀騒乱記 -咲けよ草花、春爛漫-
【性転換/フタナリ 官能小説】

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-続・咲けよ草花、春爛漫--18

7. クローズ・コール

「お、ミハル! 何や、剣道部に入部しに来たん?」
「んなわけないだろ」

昨日まであんなに晴れていたのに、今日はあいにくの曇り空。きっと、この空は俺の心情を露わしているのかもしれない。
放課後、俺は紺野に会いに剣道場にやってきた。無論、例によって体育祭のことである。
グラウンドから少し外れた場所にある剣道場からは剣道部の勇ましい声が聞こえる。文句を言いにきた筈なのに、間合いをとり竹刀で面を打つその様を俺は呆けたように見ていた。
素人の俺でさえ分かる、中でも一際迫力のある男に釘づけになっていると、部長の兼崎先輩がホイッスルを鳴らした。休憩の合図のようだ。
それぞれが面を外して息をつく。そして少し驚いた。俺が釘づけになっていたのは、まさに俺が訪ねてきた人物だったのだ。そうか、剣道は小学生からやっていると言ってたっけ。

「今休憩入ったとこなんやけど、もしかして待ってた?」
「いや、退屈しなかったよ。剣道部の練習してるところ見るの初めてだし。さすがに年季入ってるだけあってお前上手いな、すぐ分かった」
「俺の雄姿に惚れた?」
「バーカ、言ってろ」
頭に巻いていた手拭いを無造作に巻き直し、紺野は笑いながら道場の入口へ俺を促す。
「あ、ここでいいよ」
柱にもたれかかり、紺野はそうかと言って俺の言葉を待った。
俺は溜息ひとつついてから口を開く。
「あのさ、紺野……うちの応援団、男子がチアガールで女子が学ラン着って聞いたんだけど」
「うん」
頷く紺野。俺の言いたいことが何となくわかったのだろうか。紺野の口が微妙に曲がっている。
「笑いとインパクトを狙ったんだろ? それはいい。そこまではいいんだ」
「せやね」
微苦笑しながらも涼しい声で言う紺野の胸倉を俺はとっ掴んだ。そして胴着の襟元を掴んだままがくがくと揺さぶる。
「どーして俺が! この俺が男子応援団に入ってチアの衣装を着なきゃならなくなってんだ、あ!?」
「ちょ、落ち着いて」
「桑名の奴を締め上げたら、てめーが推薦したってゲロしやがったぜ。おい、えらいことしてくれたなぁ?」
「だってだって」
チアはむさいのばっかりでも面白ないやん! と俺の手首を抑えながら紺野は言う。俺は小さく舌打ちをした。
「ならチアなんて格好、女子にさせりゃーいいじゃねぇか。男のスコート姿なんて誰も嬉しくないだろ」
手を離し、俺はしゃがみ込んで頬杖をつく。
「だって普通やつまらん言うねんでー、先輩ら」
「だから、それはいいんだ! 問題は、どうして俺が男子応援団の方の格好せにゃならんっつーことだよ!」
「だって先輩らがミハルのチア姿見たい言うから」
くそ、分かっていたとはいえそうあっさりと言われてしまっても困る。
俺が黙っていると、紺野は食い下がってくる。
「それにチアの格好は男子応援団皆ですんねんで。俺や桑名も」
「そ、そもそも俺は応援団なんか入る気ないからな」
「だって、応援団はそれぞれクラスから3人ずつ出さなあかんやろ? 応援団なるんは、運動神経よくて点稼げる奴がやった方が士気だって上がるし」
それにほぼ体育祭の実行委員も同然だし、という言葉に俺は何も言えなくなる。
しかし首を横に振って、ぶっきら棒に呟いた。
「……俺は別に運動神経よくないぜ」
「何言うてんねん。あんな足速いくせに」
確かに足だけなら速いのだが、それ以外はからっきしだ。
リズム感は悪いし、身体は堅いし、野球部だったくせに相変わらずのノーコンだし。
「それに、ミハルを推薦したところ先輩ら大喜びやったでー」
俺が応援団を辞退したら先輩らがっかりするだろうな、なんてずるい。卑怯だ。
それにそんなすがるような表情をされては、首を縦に振らざるを得なくなる。


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