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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん9-5

『お菊ちゃんの特技は何んですか?』

「お菊ちゃん!得意な事を教えてあげなよ!」
舞台の真ん前に陣取って叫ぶ僕。
フォローになったかなぁ。

「き…菊の得意な物は…お琴と薙刀にございます」
たどたどしく答えるお菊ちゃん。

けど…この答えにも観客の人たちは大ウケ。

そして…。
『続きましては!候補の皆さんの歌の時間でぇぇす!』

えぇ!?歌なんて歌うの!!
オロオロとしまくる僕。

そんな僕に…。
下唇を噛みしめたお菊ちゃん。
安心して…とばかりコクって頷いてみせる。

やる気だ。
お菊ちゃんは何やら凄いやる気だ。


そして…お菊ちゃんの番。
お菊ちゃんはアカペラで…。
「梅はぁぁぁ♪さいぃぃたかぁぁ♪」

ウォォォォォォ!!――。
出た!今日イチの歓声。

江戸小唄で観客の人たちの心を鷲掴みしたお菊ちゃん。

僕は心の中でしっかりとお菊ちゃんの優勝を確信していた。

そして結果発表。
『第七回、ミス『お江戸ランド』は…』
審査員から渡された封筒の中身を読み上げる司会者。
『エントリーナンバー9番!柏田菊さん!!』

「はい?何でございましょう?」
あはっ!お菊ちゃんは名前を呼ばれただけだと思ってるみたい。

てか!優勝だぁ!!
テンションが上がりまくった僕も舞台によじ昇っちゃう。
「一番の器量良しだって!お菊ちゃん!!」
両手でお菊ちゃんの手を握ってしまう僕。

「わ!わたくしがですか!?」
驚いた様にチョイ垂れ目をぱちくりとするお菊ちゃん。

表彰式の頃になってやっと。
お菊ちゃんの顔に満面の笑みが浮かんでいた。


ミスコンも終わって…。
トロフィーを抱えてヨチヨチと歩くお菊ちゃん。
その横を誇らしげに歩く僕。
野郎どもの突き刺さる嫉妬の視線に僕はニマニマ。

みんなからの羨望の眼差しにお菊ちゃんは恥ずかしそうに照れ笑い。
そのお菊ちゃん…写真まで撮られまくちゃってる。

まぁ何にして僕たちは最高の気分だった。


そんなこんなで『お江戸ランド』を堪能した僕とお菊ちゃん。

始終、楽しそうなお菊ちゃんを…。
「お菊ちゃん…簪を買ってあげる」
お土産屋さんに連れてきた僕。


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