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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん2-2

こっちをニッコリと見つめてきたお菊ちゃん。
「かたじけのうございます…大変、おいしゅうございました」
深々と頭を下げてきた。

僕はお菊ちゃんの両肩にそっと手を添えると。
「さぁ…顔を上げなって、そんな大した事じゃないんだから」
そっとお菊ちゃんの上半身を起こして。
礼儀正しいお菊ちゃんをニコニコと見つめた。

恐る恐るといった感じで視線を僕の方に戻すお菊ちゃん。
でも…目が合った瞬間。
真っ赤な顔で恥ずかしそうに瞳を伏せちゃった。

「ど…どうしたの?」
マズッたのかと思い、心配になっちゃう僕。
でも…。

「その様に見つめられたら…」
俯きんがら話しだすお菊ちゃん。

「ん?」
優しく問い掛けるだけの僕。

「菊は…菊は…恥ずかしゅうございます」
お菊ちゃんはそう言うと着物の両方の袂で自分を顔を覆った。

ドキッとした…すっごくいい意味で。
決めた。
幽霊さんに魅入られてしまったのかもしれないけど…。
それならそれでいいや。
僕はもう一度、渾身の優しさでお菊ちゃんを僕の方へと向き直させると。
「お菊ちゃん…僕はお菊ちゃんが好きだ!」
普段では言えない様な事がサラッと言えた。
でも心臓はドキドキ。

お菊ちゃんも垂れ気味の大きな瞳を見開いて。
びっくりした様に僕を見つめてる。

「お菊ちゃん…好きだ」
その瞳をしっかり見つめて、もう一度繰り返す僕。

「う…う…う…」
何か言おうとしてるお菊ちゃん。
ま…まさか“うらめしや〜”なんて事は…。
絶対にないよね。
「う…う…嬉しゅうございます…こんな菊を好いて頂けるなんて…嬉しゅうございます」
お菊ちゃんの大きな瞳から涙がポロポロと流れて落ちた。

「お菊ちゃん!」
僕はそんなお菊ちゃんをしっかり抱きしめていた。
全身でお菊ちゃんの感触をしっかり感じてる。
嬉しい!…途方もなく嬉しかった。
その思いはお菊ちゃんにも伝わったみたい。

「俊樹さま…」
お菊ちゃんもしっかりと僕にすがりついてきた。

ちょっと…と言うか。
かなり摩訶不思議、ホラーな展開かもしれないけど。
そんな事はどうでも良かった。
今の僕たちに重要なのは僕の気持ちとお菊ちゃんの気持ち。
それだけであった。

両想いと判ると、僕ってやっぱり……かな。
ゆっくり身体を離して、もう顔を伏せる事のないお菊ちゃんを見つめて。
「ねぇ?お菊ちゃん…キスしていい?」
……って、こうなっちゃうよね。

「き…す?」
お菊ちゃんはなんの事って感じで小首を右に傾げてる。
更には左。
ポォカーンってした顔でそれを繰り返すお菊ちゃん。

ヤバい…可愛過ぎ。
僕の顔からはもう笑顔が離れない。


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