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てき屋のマコ
【コメディ 官能小説】

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てき屋のマコ2-3

緊急会議が終った。
太陽はまだ熱気を孕んでいるが、あと少しで夕陽に変わる手前であった。
難しい顔をしたマコが出店に戻ってくると。
「マコさん!お帰りッス!」
顔中を汗にまみれさせたナンシーがニッと笑いかけた。
「お…おう?」
マコは依然、眉間にシワを寄せている。
「どうしたんッスか?難しい顔して…」
「いやよぉ…」
出店の中に戻ったマコが緊急会議の話をナンシーに向かって話しだした。
緊急会議の内容とは…。
鵠が浜海岸に変質者が出没しているとの事だった。
水着姿の若い女の子が押し寄せる海水浴場。
多少の盗撮騒ぎや下着泥棒は毎年の事であったが。
今年、出没している変質者はそれらの行為も度を越していたし。
なにより人気のない所で若い女の子にイタズラしようとしたりとやりたい放題であった。
そこでライフセーバーを中心とした海水浴場の自治会が警察とタイアップして防犯パトロールを始める事となったのだ。
そして、露店商組合や海の家組合も防犯パトロールに参加して欲しいとの事だった。
話を聞き終えたナンシーが。
「もちろん参加しやすよね!マコさん」
鼻息を荒げる。
「当然だろ!って言いたいけどよぉ」
マコはどこか煮えきらない。
「どしたんすか?」
ナンシーもマコの様子を訝しみ始めた。
「いや…マッポの担当がよ」
「へい?」
「里田だぜぇ!」
「えぇぇ!!」
ナンシーもマコ同様に十代の頃。
睦美には何度も補導されていた。

「だがよぅ…誠司さんの為だから協力しない訳にはいかないよなぁ」
マコが、らしくない弱々しい笑みをナンシーに向ける。
「そうッスよ!それにそんな変態野郎を野放しにする訳にもいかないッスからね!」
どこまでも鼻息の荒いナンシーが両肘を曲げて、身体の横でグッと拳を握った。
「そ…そうだな!」
マコもナンシーの勢いに押され、元来の割りきりの良さを取り戻した。
取り戻しついでに…。
「そういやぁ…売り上げはどうだ?昨日なんか目じゃねぇだろ」
すっかり元気を取り戻したマコ。
ニヤニヤとナンシーを見つめた。
「さっぱりッス!閑古鳥が鳴いてやす」
「あにぃぃぃぃぃ!!」
一気に沸点に達するマコ。
そんなマコをナンシーは爆笑を堪え見つめていた。
防犯パトロールが始まった。
露店商組合、海の家組合は各店舗が持ち回りで参加する事となったが。
マコとナンシーは交代で毎回参加する事となった。
理由は簡単。
ライフセーバー側の担当が誠司であり。
その誠司が毎回参加するからであった。
そしてマコとナンシーの交代の比率だが…。
マコが三回につきナンシーが一回であった。
無論、当初は総てを独占するつもりであったが…。
黙って従う程、ナンシーも甘くなかった。
壮絶な口での争いの結果…得た割合であった。
しかもラッキーな事に警察側の担当者である睦美が防犯パトロールに参加するのは…。
週に一回程度の事だった。
他の事件が起きた場合の兼ね合いもあり。
参加の日程は不規則。
不参加は近くの派出所の警察官がフォローするとの事だった。
ただ…真面目な睦美の事、時間を作って可能な限り参加するであろう事は。
マコもナンシーも充分に承知していた。
たが毎回、いないだけでも御の字と言える事だった。

そして…。
今日のパトロールは睦美は不参加。
誠司、露店商組合から二人、海の家組合から二人、そしてマコの六人だった。


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