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てき屋のマコ
【コメディ 官能小説】

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てき屋のマコ1-1

プロローグ

海開き。
都心より車で二時間。
電車では一時間ちょっと。
日帰りでも遊びに来れる鵠の浜海岸には例年通り…多くの若者や家族連れが押し寄せる。
海岸直ぐ横を往く湾岸線には多くの車が列をなし。
その脇の歩道のには処狭しとやはり多くの出店が軒を連ね…。
道を往く水着姿の人々に威勢の良い販売促進を繰り広げていた。
「安いよぉー!安いよぉー!お好み!安いよ!さぁ…泳いだ後にはお好みやき!ナンパのお供にお好み焼き!何がなんでも………」
ひときわ大きな声で販促活動に精を出している出店があった。
販売している物はお好み焼き。
そのお好み焼きを売る威勢の声の主は…。
まっキンキンの金髪のセミロングに赤いタオルをハチマキにして。
アイラインばっちりのド派手目メイクにUVカットの白塗り。
少々トウが立ってはいるが紛れもないヤンキー系のギャルであった。
ヤンキー系のギャルがてき屋のバイトについている事は多々あるが。
このお好み焼きを売るヤンキー系のギャルは紛れもなくこの出店の店主であった。
名前は樺島真琴。
年齢は二十うん歳(前半ではない。)
職業は見ての通りのてき屋(本人はショップを経営していると言ってはいるが…。)
花の独身で彼氏がいない暦は五年以上。
二十歳を過ぎた頃から亡き父親から引き継いだ出店を切り盛りし。
てき屋のマコといえばこの海岸近辺でちょっとした顔だった。

「マコさん…今日は暑すぎて駄目っすよ」
声を張り上げるマコの横でヘラを両手にお好み焼きをひっくり返しているもう一人のギャル。
首にタオルをかけ、顔中を汗まみれにしたそのギャルがぶータレた。
マコとは違い黒い髪。
ド派手なメイクは似ているが。
細身できつい感じのマコよりも顔も身体も丸い。
マコの後輩であり、舎弟であり、マコのショップの店員でもある彼女。
名前をナンシーと言った。
もちろんこれはマコが付けたあだ名である。
南原美緒…これが本名であったが。
マコから美緒と呼ばれる事は殆どない。
マコが素面の時はナンシー、酔っ払うとナンちゃんであった。
そのナンシー。
マコより肉付きがいい分、すっかり暑さに参っている様だった。
そんなナンシーにマコは…。
「ぶータレてないで、しっかり売れよ!でないとおまえの日当はまた現品支給になるぞ」
ニカッとちょっと意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「そ…そんなぁ!」
更にぶータレるナンシー。
だが…マコとの付き合いは昨日、今日の事ではない。
ぶータレてもどうにもならない事は十二分に承知していた。
と…その時。
「マコさん!今日も頑張ってますねぇ」
全身真っ黒に日焼けした海パン姿の男が出店の正面に立った。
筋肉質で締まった身体つきに黒く短い髪。
眉毛のキリッとした濃い感じのイケ面だった。
「上山さん!」
漫画的な表現なら…マコの目とナンシーの目が同時にハートマークになった。
男の名は上山誠司。
数年前から毎年、夏になると鵠の浜海岸でライフセーバーをしている若者で歳はマコと同じくらい。
マコやナンシーの憧れの存在でもあった。
その上山、週のうち数回はマコの出店のお好み焼きを昼食にしてくれていた。
そして今日も…。


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