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月夜と狼
【幼馴染 恋愛小説】

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月夜と狼-7

「あんなの、全然怖くないのにね」

パキン。

また、俺の目の前にチョコが差し出された。
俺は咲夜の手のひらからソレを食った。

「……隣だけど、通う高校が違うから。きっと今までのようには会えなくなっちゃうから。ちゃん好きだって言って渡そうって思ったのに。なー」

てことは、このチョコは俺にくれるつもりだったってこと?
いや、それよりも咲夜が俺を好きだって?
こんなことにならずに、チョコを渡されていたら。
俺は咲夜とつきあったのかな?
それともフッたのかな?

ただ、今夜の咲夜はとても可愛い。でもソレは犬の俺に見せた姿で。
人ならぬ身にはどうであろうとどうしようもない。

保留。

いろいろありすぎて考えられないや。

また手が差し出され最後の一欠片を食った。

「おしまい」

咲夜は手のひらをふって、チョコが無くなったことを示すと満足そうに微笑んで俺の頭を撫でた。

「さ、帰ろうかな」

咲夜が立ち上がり、ぱんぱん、とケツをはたいた。

「綺麗な月だね。君にとても似合うよ。わおぉーんって」
――俺、遠吠えしてないし。

東の空にまんまるの月が昇ってきていた。
川に添って歩く咲夜に月と一緒についていった。
物騒なことは確かだし。
コイツは凶暴だけど、まあ、ほんのちょっとぐらいは心配だし。

川を離れて住宅地入る咲夜を、角を折れるまで見送った。
そこを曲がって3軒奥が咲夜の家。4軒奥が俺の家。





俺は土手に戻り、再び草の中に身を埋めた。

大きな月が照らしている。
なにもなければ、素直に綺麗だと言える光景なんだが。

どうしよう。

確かに、咲夜の言う通り、悪さをするしないに関わらず、このデカさでは保健所行きだよなあ。
昼間はどこに隠れよう?
腹もへったしなあー。チョコレートじゃ保たんわ。
はあぁー。



ざっ…ざざっ……。

草の鳴る音がして頭を上げると、俺と同じく大柄な犬がこちらに向かってきていた。

――うそぉー?

人間以上に対処に困るんだけど。
どうしたらいいんだ?

俺は逃げようとした。が、そいつが身体を翻し、俺の退路を塞ぐ。

ふんふんふん。

匂いをかぎながら近づいてくる。


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