投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

やさぐれ娘は屋上で笑うの最初へ やさぐれ娘は屋上で笑う 28 やさぐれ娘は屋上で笑う 30 やさぐれ娘は屋上で笑うの最後へ

#02  研修旅行――初日-8

「俺と、相原さんが初対面、ねぇ……」

「――っ!」



岐島が首を回し、右に座る女子三人――いや、その最も右端にいる相原柚子葉を視界に収めた。相原は相原で、その百七十五近くある巨躯をピクンと震わせる。

――なんだ?もしかして、この二人は、



「もしかして、二人は顔見知り?」



私の胸の中の疑問を林田が代弁してくれた。

岐島はその赤い唇を歪める。



「顔見知りも何も……彼女、相原柚子葉と俺は同じ小学校にいたことがあるんだよ。ま、俺は転校してしまったけれどね」

「へぇ〜。え?じゃあ、クラスメイトだったりして?」

「そうだね。小学校一年から四年の秋――俺が転校するまでずっと、同じクラスだったよ。といっても三クラスしかなかったから、クラス替えは三年に上がるときだけ。確率はそう低くはなかったけど」

「でも、転校しても、高校でまたクラスメイトになるって奇跡的じゃないですか」

「そうかい?でも、その奇跡を誰もが望んでいたわけでもないらしいがね」

「は、い?」

「ふっ……」



岐島は一方的に言い散らすと最後に笑って、話しを収束させてしまった。

林田も、そして私も疑問符を浮かべる。

見ると、相原はその大きな身体を小さくさせて俯いていた。

いや〜な空気が流れる。私はこの空気が大嫌いだった。



「なあ、岐島?それにしても、周りに無関心なおまえが他人のことを覚えているなんて珍しいな?」

「無関心?他人に?それは誤解だね。俺は極めて周りに気を使って生きている小市民だよ」

――うそつけ。


やさぐれ娘は屋上で笑うの最初へ やさぐれ娘は屋上で笑う 28 やさぐれ娘は屋上で笑う 30 やさぐれ娘は屋上で笑うの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前