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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#02  研修旅行――初日-7

「そ……そういえば、まだ、途中だったわね!私、好きなアーティストは浜崎アユミと、あとはもっぱらクラシックです」

「はっ――」



いまのは私が鼻で笑った声だ。聞こえないくらいに小さくやったつもりだったのだが、他の二人は完璧なノーリアクションだったために、林田には聞こえてしまったかもしれない。

だが、仕方ねぇじゃん?なんだ、いまのプロフィールは?お見合いかっつーの。

そんな感想の私だったが、自己紹介を終えた林田が一直線に私へ視線を向けてきたときにはビビった。



「じゃあ、今度は佐倉さんで……」

「な、なんで私なんだよ!?」

「まあまあ……」



うん、どうやらさっきのは聞こえてしまっていたようだ。

そして、腹いせか、または他の二人よりかは人間じみた反応だっためか、マイクが回ってきたってわけだろう。

……ま、仕方ないか。また、沈黙するのも嫌だし。



「私の……趣味?う〜、あ〜……ああっ、アレだ。カラオケ。あと、ショッピングだな、うん。ウィンドサーフィンってヤツだ。好きなアーティストはいきものがかりとガガ」



よし、ターン終了。

なんだ、これ?高校生にもなって自己紹介って、思った以上にハズイな。ヤベ。頬がちょっとだけ、熱い。

林田もどうやら満足したようで、次は――、と友達である相原柚子葉へと目を向けた。下手に岐島へバトンを渡して場が凍る危険性を予想したことは優に推理できる。

窓の外で流れる高速の景色を見ていた相原はぴくんっ、と(大きな)肩を跳ね上げ、林田を見返した。



「じゃ、柚子ね?」

「――っ。わ、私っ?」

「そうよ。私は知っているけど佐倉さんも岐島君もほとんど初対面じゃないの」

「でも……」

「まあ、佐倉さんは私たちと同じ中学からのエスカレーター組みだから良いとしても、岐島君とは話したことだってないでしょう?」

「それは、」

「はっ――」

「っ!」



再び、鼻で笑う嫌味な声が車内後方に響いた。けれども、今度は私じゃないぞ?

そう、視線を巡らせると発生元は岐島だった。珍しいことに読んた文庫本に金属製の銀色の栞を挟んで閉じると自主的に会話に参加してくる。




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