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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#02  研修旅行――初日-6

「あ、の……私たち、クラスメイトっていってもアレじゃない?だから、良い機会ですし、少しお話ししません?」



高い声の丁寧な口調だ。けれども、私はどうも気に入らなかった。

なぜだろう、と首を捻ると答えは簡単だった。我が姉君と似た匂いを感じだからだ。

こと生徒会などに入って、奉仕活動なぞしているとこうなってしまうのかもしれない。

だから、私は林田の提案に賛成するも、複雑な視線で答えた。岐島は本から目を上げ、一瞥しただけ。

デカ女、相原は鉄面皮を緊張させたように見えた。

なんだ?私たち(私と岐島だ。クラスの浮き方は似たようなものだろう)と話すのはやっぱり、抵抗があるのか?

ってなことを考えていると、大した賛同を得ることのできなかった林田は半強制的に会話を開始した。



「名前はさすがに分かっているから、どうしましょう?趣味とか、好きなアーティストとか?」

「………………」



可愛そうに、林田。精一杯、愛想よくしているのに誰も返事を返さなかった。

いや、私も返事しなかったけれどさ。

だが、林田は見た目よりかは打たれ強かった。



「わ、私の趣味は読書とガーデニング。あっ、読書といえば岐島君はなにを読んでいるんです?」



……。林田、頑張って話しを展開しようと頑張っている気概は買う。

買うが、そのチョイスは最悪だ。最悪のパスだ。それは言葉のキャッチボールなんかじゃない。ただのワイルドピッチだ。

岐島が、今度は目線すらよこさずに答えた。



「カヴィニエスの『民族宗教の酷似性及び相違性』」

「は、はい?え、っと……」

「ドナルド・カヴィニエスだ、パリ在住の宗教心理学者であり民俗学者の。読みたければ貸すけど?もし、きみが仏語を人並み程度に読めるのであれば、だけれどね」

「い――いいえ。また、の機会に……」

「…………」



ほら、こうなった。根本的にコイツのテリトリーに入って会話を成立させようってほうが間違っているんだ。

哀れ、林田は固まっていた。

それでも、直後にはなんとか回復、続ける。




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