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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#02  研修旅行――初日-5

まず、林田尊、相原柚子葉の二人の会話が予想以上にない。

っていうのも、委員長林田が話しかけても相原が二言三言で止めてしまうのだ。――お前ら、本当に友達なのか?

そして、私は自分からは話さない。当たり前だ。それほど仲の良い相手たちではないし、そういうのは私のタチではなかった。

だからってな、岐島ぁ〜……。おまえまで黙りこくることはねぇだろうが。

いつもは嫌気がさすほど余計なことまで喋るくせによ!知ってるぞ。おまえは別に寡黙でも物静かな人間でもないだろ!

私は恨みがましい眼差しを、右手で何かしらの文庫本を読みながら、もそもそと左手のカレーパンを咀嚼する岐島を睨んだ。

――ん?いや、ちょっと待て?

『カレーパンを咀嚼する』?待て待て待て?だって、コイツは――、



「岐島?おまえ、さっきから幾つパンを食べた?」

「……?なんだい、急に。コレで七つ目だよ」

「だよな〜。私の記憶と一緒だぜ――っておい!おまえは、なにが平然と七つ目だよ、だ!?喰いすぎなんだよ、朝っぱらから!」

「べつに良いだろう。旅行のしおりには別に持ち物の制限はなかったじゃないか。それとも、お菓子は五百円までなんて言う気か?」

「惣菜パンは菓子じゃねぇし、そもそも、ウチらは小学生でもねぇよ!」

「じゃあ、なんだ?俺がなにをどれくらい喰おうが良いじゃないか」

「見てるこっちが胸焼けするわ!」

「……ふんっ」



岐島は私の顔と左手のカレーパンを交互に見ると最後に小さく鼻を鳴らし、問答を止めた。そして、再び本に目を向け、カレーパンの残り一口を口内に押し込んだ。

そうだった……。この岐島仙山という男――そんなメタボリックな体型でもないのに、バカみたいに喰うのだ。

この間、なんだかんだで私がコイツにメシをおごる機会があった。そこで、岐島は某ハンバーガーチェーンでよいと言ってきたんだ。私は遠慮しているものだと思って、「別にもう少し高くてもいいぞ?」と返したんだが、後々、岐島が半ば強引にバーガーを選んでくれたことに感謝することとなる。

考えられるか?二人で合計三千円を越えたんだぞ?もちろん、私は少食――とまでは言わなくても、食べる方ではない。

店のバイトのお姉さんもそりゃ、苦笑いもする。

んま、胃袋のおかしい岐島への私の正当な突っ込みのお陰で、辺りの硬い雰囲気が若干ながらも、和んだ。

どうやら、気まずさを覚えていたのは私だけではなかったようで委員長、林田が口を開いた。




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